2001 Fiscal Year Annual Research Report
知的障害者への取り調べ・事情聴取の適切化に関する心理学的研究
Project/Area Number |
13710059
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
高木 光太郎 東京学芸大学, 海外子女教育センター, 助教授 (30272488)
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Keywords | 知的障害者 / 取り調べ / 事情聴取 / 想起 / コミュニケーション |
Research Abstract |
研究代表者がこれまでに鑑定を担当した知的障害者が被疑者もしくは証人となっている刑事事件(4件)における取り調べ・事情聴取場面の記録の分析にもとづき、取り調べ・事情聴取場面において特に注目すべき知的障害者の記憶特性、コミュニケーション特性を検討した。その結果、記憶特性として4特性(短期記憶の容量、自発的なリハーサル方略の利用、イメージ化方略の優位性、長期記憶における意味的・論理的体制化の困難)コミュニケーション特性として7特性(能動-受動表現の弁別困難、抽象概念の操作困難、生活経験に由来する他者依存性、クローズドクエスチョンに対する肯定的応答の傾向、誘導的・暗示的質問への被影響性、質問の反復による応答の変更、非意図的な「嘘」の発生可能性の高さ)特に留意する必要があるとの結論を得た。またこの結果と、子どもへの事情聴取のために開発されたインタビュー技法の一つとしてイギリスの捜査機関で実用化されている"Memorandum for Good Practice : On Video Recorded Interviews with Child Witness"の構造との関係を検討し、このインタビュー技法が知的障害者への取り調べ・事情聴取においても基本的には有効に機能しうる可能性が高いことを見い出した。また基礎的な理論研究としてF.C.Bartlettの想起理論の検討をおこない、取り調べ・事情聴取場面を共同想起過程として分析する際に彼の「スキーマ」概念を拡張して利用することが有効である可能性を見い出した。
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Research Products
(1 results)