2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13710069
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平井 啓 大阪大学, 人間科学研究科, 助手 (70294014)
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Keywords | 末期がん患者 / 心理的適応 / 生存期間 / セルフ・エフィカシー / 抑うつ / 不安 |
Research Abstract |
まず、末期がん患者の心理的変数と生存期間の関係について文献的な検討を行った。Spiegel et al. (1989)、Fawzy et al. (1993)においては、がん患者に対する心理学的介入を行った介入群の方がコントロール群に比べて有意に長い生存期間を持つことが示されている。しかぬがら、ここ数年の研究、例えば、Edelman et al. (1999)1こおいては、転移のある乳がん患者に対して認知行動療法的介入を行った結果、直後に情緒状態に対する改善は認められたかが、5年後の生存率には介入による有意な効果は認められなかったとしている。また、最新の報告として、Goodwin et al. (2001)は、Spiegelらのプロトコルを用いて、大規模な無作為比較試験を行った結果を示している。それによると、情緒状態に対する心理学的介入の効果は認められたが、生存期間に対しては影響は認められなかったとしている。よって、心理学的変数と生存期間の関係については再検討の時期に来ていることが示唆される。 次に、末期がん患者の心理的適応について、面接調査を行った。生存期間と心理的適応の関係について明らかにする前段階として、心理的適応の各指標と身体状況の指標の関係について分析を行った。大阪府のホスピス緩和ケア病棟にて面接を行ってきた入院中および外来通院中の末期がん患者67名のデータを解析の対象とした。心理的適応の指標として、抑うつ、不安、セルフ・エフィカシー、身体的要因の指標として、一般性活動状態(Performance Status : PS)の関係について分析を行った。その結果、心理的媒介変数であるセルフ・エフィカシーと心理的適応の指標である抑うつ・不安都の間と、セルフ・エフィカシーとPSとの間に有意な関連性が認められた。一方で、抑うつ・不安との間には有意な関連性は認められなかった。来年度は、これらの関係に生存期間を含めて検討する予定である。
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