2001 Fiscal Year Annual Research Report
英国における権限移譲改革以後の政治過程分析-新制度論アプローチ-
Project/Area Number |
13720079
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
北村 亘 甲南大学, 法学部, 助教授 (40299061)
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Keywords | 大ロンドン市(GLA) / 直接公選市長制度 / ケン・リヴィングストン / 官民パートナーシップ(PPP) / アーバン・ガヴァナンス / 権限移譲改革 |
Research Abstract |
本年度は、2000年に発足した大ロンドン市(Greater London Authority)の制度的特徴と、同制度の導入による市民意識の変化を把握することにつとめた。英国で初めて導入された直接公選市長制度を理解するために、実際にロンドンの地方議員や与党・労働党の幹部にインタヴューを行い、その成果の一部を論文としてまとめた。 「なぜ、集権的な英国において、発足したばかりの大ロンドン市が中央政府と互角に対峙できているのか」という問いを考察した。サッチャー内閣の下では、中央に抵抗した当時のロンドンの広域政府は廃止の憂き目にあっている。なぜ、大ロンドン市は、中央の政策に抵抗できているのかをインタヴューと意識調査から探ることが本年度の課題であった。 類似の制度を採る日本の地方自治体の研究から、直接公選市長制度がロンドン統治に対する市民の関心を市長に集中させる効果をもつために、中央政府も無視しえないほどの代表性・正当性を大ロンドン市が帯びたのではないかと推論した。新制度の導入前後の意識調査やレファレンダム、市長選挙での投票率を検証した結果、市民のロンドン統治に関する高い意識は実際の行動と結びついていないが、ロンドンの代表者としての市長の地位は確立し、市長率いる新制度のパフォーマンスへの満足度も徐々に高まっている傾向が観察された。
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Research Products
(2 results)