2001 Fiscal Year Annual Research Report
多変量正規分布における行列パラメータの推定に関する研究
Project/Area Number |
13740056
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
原 尚幸 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (40312988)
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Keywords | 多変量解析 / 点推定論 / 縮小推定 / 多重比較 |
Research Abstract |
以下の正規分布モデルにおける平均μが未知のときの分散σ^2の推定問題をStein(1964)の損失関数の下で考察をする. X=(X_1, ..., X_k)'〜N_k(μ, σ^2I_k), S〜σ^2X^2_n. σ^2の自然な推定量としては不偏推定量δ^0=S/nがあるが,周知の通りδ^0は非許容的である.δ^0を改良する推定量はStein(1964), Brown(1968), Brewster and Zidek(1974)らにより数多く提案されてきた. これらの推定量に共通の発想はXの情報を用いてδ^0を改良するというところにある・実際に‖X‖^2という形で推定に取り込まれており,そのリスクは非心母数λ=‖μ‖^2/σ^2にのみ依存する.既存の改良型推定量は一搬にλの小さいところで大きな改良を与え,λ→∞に従い改良は0に近づく.しかしこのことは,例えば真の平均μ=(μ_1, ..., μ_k)'に関し,μ_1=…=μ_i<kであったとしても、μ_j≫0, k【greater than or equal】j>iのようなときには改良が小さくなってしまうことを意味する.しかし,このような場合でも通常の改良型推定量に見られる直交不変性を崩し,X_1, ..., X_iがX_<i+1>, ..., X_kに比べて平均的に寄与が大きくなるような推定量を構成することができれぱ,それはμ_1=…=μ_i=0の情報を推定に取り込ことが可能となることを意味し,従ってこのような場合においてもある程度の改良は期待できると考えられる.この考え方は改良型推定量が予備検定推定量と呼ばれる際の背後にある検定を,帰無仮説λ=0のF検定から多重比較に置き換えることだと言うこともできるであろう.本研究ではこうした視点に立ってσ^2の推定問題を考察し,不偏推定量をSteinの損失関数の意味で改良する新たな推定量のクラスを導出することに成功した.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Hisayuki Hara: "Other Classes of Minimax Estimators of Variance Covariance Matrix in Multivariate Normal Distribution"Journal of Multivariate Analysis. 77. 175-186 (2001)
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[Publications] Hisayuki Hara: "Estimating a Covariance Matrix in MANOVAMOdel"Statistics & Decisions. 20(To appear). (2002)
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[Publications] 原 尚幸: "正規分布における分散推定について一考察"日本数学会2002年度年会予稿集. (To appear). (2002)