2001 Fiscal Year Annual Research Report
局所磁化測定法を用いたペロフスカイト型マンガン酸化物における相分離の研究
Project/Area Number |
13740208
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
徳永 将史 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (50300885)
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Keywords | マンガン酸化物 / 相分離 / 磁気光学効果 |
Research Abstract |
今年度の研究では磁性ガーネット膜をインジケーターとしてペロフスカイト型構造及び層状ペロフスカイト構造を持つマンガン酸化物の局所磁化測定を行った。この手法は数ミクロン程度の空間分解能および数秒の時間分解能で試料全体に及ぶ磁束密度分布を測定する事が可能である。これらの特性を生かしマンガン酸化物における相分離の観測、およびその時間発展に対して研究を進めた。電荷整列を起こすマンガン酸化物にクロムをドープする事で相分離状態を実現する事が可能であり、キャリア数を変えることで磁場誘起絶縁体金属転移の転移磁場を本測定で観測可能な範囲に下げることが可能である。このような観点からPr_<1-x>Ca_xMn_<1-y>Cr_yO_3の単結晶試料を作成し、温度・磁場変化によって起こる金属絶縁体転移近傍における強磁性ドメインの時間発展及び電荷整列ドメインの消失を観測した。その結果、一見試料全体でなめらかに変化しているように見える磁化の緩和過程も局所的には一様な変化ではなく、強磁性ドメインの消失によって特徴づけられる物であることを実証した。このようなドメイン崩壊過程はパーコレーション的絶縁体金属転移の描像を示唆するものであり、現在ドメイン崩壊過程における抵抗率の変化の同時測定を進行しているところである。 また、層状ペロフスカイト型マンガン酸化物における研究の中で、バブル磁区の発生を磁場で制御できることを発見した。スピン分極率が大きいマンガン酸化物のドメイン壁における抵抗の詳細については相分離とは別の興味がある。今後の課題として外部磁場による磁区制御を直接観測しながら、同時に抵抗測定を行い、磁壁の抵抗の問題について研究を進めていく予定である。 本年度の研究を通してガーネット膜の空間分解能による制限がしばしば問題となることがあった。そこで、より高い空間分解能を持つガーネット膜の作成を現在進行している。
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