2002 Fiscal Year Annual Research Report
強相関電子系におけるスピン・トリプレット超伝導に関する理論的研究
Project/Area Number |
13740211
|
Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
黒木 和彦 電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (10242091)
|
Keywords | 超伝導 / スピン・トリプレット対 / 有機動体 / Sr_2RuO_4 / ハバード模型 / トンネル分光 |
Research Abstract |
擬一次元有機超伝導体(TMTSF)_2X(X=PF_6,ClO_4等)ではスピン・トリプレット・ペアリングが実現している可能性が実験的に指摘されている。我々は、フェルミ面の擬一次元性、スピンと電荷ゆらぎの共存、スピン揺らぎの異方性の3要素によってスピン・トリプレットf波超伝導が実現している可能性を提唱している。 今年度は、擬一次元ハバード模型に対して量子モンテカルロ法を適用することによって、f波超伝導が出現する可能性について調べた。その結果、スピン・トリプレットのなかではf波がp波よりも有利であること、及びf波とスピン・シングレットd波が微妙な競合関係にあることがわかった。これは我々のこれまでの提案を裏付ける結果である。 また、同じくスピン・トリプレット超伝導の可能性が指摘されているSr_2RuO_4を念頭におき、2次元ハバード模型のバンド・フィリング2/3近傍におけるスピン・トリプレット超伝導の可能性も量子モンテカルロ法により調べた。その結果、スピン・トリプレット対形成の引力が小さいながらも存在すること、ならびに、スピン・シングレットd波対形成の引力がかなり大きいことがわかった。 また、昨年以来、スピン・トリプレット超伝導の有無を判定する手法として、トンネル分光を提唱してきたが、今年度は磁場中のトンネル分光に議論を拡張し、より正確にペアリング対称性を決定できる方向を考案した。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] Y.Tanuma: "Determination of pairing symmetry from magnetotunreling spectorscopy"Physical Review B. 66. 094507 (2002)
-
[Publications] Y.Tanaka: "Theory of magnetotunneling spectroscopy in spin triplet p-wave superconductors"Journal of the Physical Society of Japan. 71. 2102 (2002)
-
[Publications] Y.Tanuma: "Magnetotunneling spectroscopy as a probe for pairing symmetry determination in quasi-2D anisotropic superconductors"Physical Review B. 66. 174502 (2002)
-
[Publications] K.Kuroki: "High-temperature superconductivity in dimer array systems"Physical Review B. 66. 184508 (2002)
-
[Publications] Y.Tanuma: "How to determine pairing symmetry of quasi-1D organic superconductors through magnetotunneling spectroscopy"(to be published in) Physica C. (掲載予定).