2001 Fiscal Year Annual Research Report
直接導入法による一酸化炭素の高感度炭素・酸素安定同位体比定量法の開発と応用
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13740313
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
角皆 潤 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50313367)
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Keywords | 一酸化炭素 / 炭素安定同位体比 / 酸素安定同位体比 / 連続フロー型質量分析 / 大気化学 / 直接導入 |
Research Abstract |
既存設備である連続フロー型質量分析計(ガスクロマトグラフ燃焼質量分析計;HP6890/Finningan Combustion III/Finningan MAT252)に、本計画により新たに製作したCO専用の前処理ラインと質量分析計への導入インターフェイスを付設し、COについて直接導入法による炭素・酸素安定同位体比定量の開発を試みた。具体的には既存の前処理ラインの内面をガラスコーティングのものにおき変えて試料導入時におきるCOの分解を最小限に押さえたCO測定専用ラインを製作した。さらに前処理ライン内の汚染を最小限に押さえるため、ドライ真空ターボポンプを使用した。またフューズドシリカ製の質量分析計への導入インターフェイスの製作や分離キャピラリーカラムをMolsieve5APLOTカラムへ変更した。以上の改良により直接導入法による炭素・酸素安定同位体比測定系を完成させ、CO_2変換法では最低必要導入量500pmolの一酸化炭素の炭素・酸素安定同位体比定量を、300pmol程度以下の導入量に押さえることが可能になった。 また高純度COガスを購入し、真空ライン中で、(1)燃焼させてCO_2に変えることによりその炭素安定同位体比を、(2)水に変換した上で酸素同位体比を、それぞれ求めた上で、これを高純度空気で希釈して濃度・同位体既知の標準ガスを作成し、これを元に新分析法の校正を行った結果、測定確度に問題は無いことがわかった。また導入量を変化させて同位体測定を行い、導入量に依存した測定値変化が無いことを確認するとともに各導入量における分析精度を求めた。また新分析法は同位体比測定と同時に、質量分析計における質量数28の出力を利用することによって、濃度測定も3%以下の精度で測定出来ることがわかった。 以上の分析法の開発に関しては成果を欧文誌に投稿中である。また連続フロー型質量分析を応用した同位体分析に関連して5件の論文と1件の著書がこの一年間に公表された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Gamo: "Chemical characteristics of newly discovered black-smoker fluid venting and its effluent dispersion at the Rodriguez Triple Junction, Indian Ridge"Earth and Planetary Science Letters. 193. 371-379 (2001)
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[Publications] 角皆 潤: "冷湧水の起源について"月刊 地球. 23巻・12号. 846-851 (2001)
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[Publications] 角皆 潤: "超微量炭素同位体比測定による熱水・冷湧水溶存気体に関する研究"地球化学. 36. 51-63 (2002)
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[Publications] 斉藤拓也: "海洋大気における炭化水素の測定"月刊 海洋. (印刷中). (2002)
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[Publications] Fumiko Nakagawa: "Stable isotopic compositions of bacterial light hydrocarbons in marginal marine sediments"Land and marine hydrogeology(eds.M.Taniguchi, K.Wang, and T.Gamo), Elsevier Science. (印刷中). (2002)
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[Publications] 日本海洋学会: "海と環境-海が変わると地球が変わる-"講談社サイエンティフィック. 244 (2001)