2001 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内小胞輸送における高等植物独自の制御機構に関する解析
Project/Area Number |
13740466
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
竹内 雅宜 理化学研究所, 形態構築研究チーム, 研究員 (00332271)
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Keywords | 小胞輸送 / 植物細胞 / Arf GTPase |
Research Abstract |
本研究計画に従い,植物のArf GTPaseの細胞内輸送における機能を解析するためにtransient assayを行った.シロイヌナズナのArf familyの中のAtArf1と呼ばれる分子種において,GTP固定型,GDP固定型という2種の優性阻害型変異遺伝子を作製し,ゴルジ体シス領域および液胞内腔のマーカータンパク質と,タバコおよびシロイヌナズナの培養細胞内において一過的に共発現させた.その結果,下記のような興味深い実験結果を得た.ゴルジ体マーカーの一つである,AtErd2-GFPは,両変異体との共発現によって,小胞体局在パターンを示すようになった.これに対し,別のゴルジ体マーカーであるGFP-AtRer1BとGFP-AtSed5においては,GDP固定型の場合には,通常のゴルジ局在パターンが観察され,GTP固定型の場合には,核周辺に,ゴルジ体が集合・密集したような構造体が観察された.また,液胞可溶性マーカーと共発現した場合には,小胞体局在パターンが観察された.研究代表者は,AtErd2-GFPと液胞可溶性マーカーにおいては,小胞体からゴルジ体への順方向輸送における損傷が,GFP-AtRer1BとGFP-AtSed5においては,ゴルジ体から小胞体への逆方向輸送における阻害が観察されているものと解釈している.したがって,この解析によって,植物のArf1 GTPaseが,植物細胞内の小胞体-ゴルジ体間輸送において必須な機能を果たしていることが明らかにされたといえる.ゴルジマーカーによって,観察されるphenotypeが異なるという点に関しては,各マーカーのfolding timeの違いが,そのような違いを引き起こしているのではないかと推測している.現在,これらの研究成果を論文発表するべく準備作業を行っている.
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