2002 Fiscal Year Annual Research Report
乱流変動値を用いた地表面における熱・水・物質交換量の算定手法に関する研究
Project/Area Number |
13750482
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
浅沼 順 筑波大学, 地球科学系, 講師 (40293261)
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Keywords | 大気地表面相互作用 / 大気境界層 / 蒸発散 / 地表面熱収支 / 微気象観測 / GEWEX / アジアモンスーン |
Research Abstract |
本研究では、地表面における熱および水蒸気交換を題材として、その様々な計測手法の長所/短所を整理することにある。様々な地域での様々な地表面上において得られたデータに対し、1)分散法、2)バンドパス法、3)Surface Renewal法、4)消散法の4つの計測手法を適用するものである。本年度は、GAME-Tibetによって得られたチベット高原上の疎らな草地でのデータにバンドパス法を適用するとともに、いずれの手法においても問題となる、低周波振動による熱/水輸送について調べた。 バンドパス法 チベット高原における移動乱流観測のデータを用いて、バンドパス法について検討した。バンドパスを行う周波数領域の決定法を考案し、またこのバンドパス周波数領域について調べた。バンドパス周波数領域をスペクトル相関係数が一定値以上になる領域として決定することによって、バンドパス領域を客観的に決定することができることが確認された。また、この基準となる一定値は、0.7-0.9の範囲で選ぶことができるが、どの値をとるかによって、バンドパス法が適用できるかどうかが決まるが、計算されるフラックスに対しては、影響を与えないことがわかった。 低周波運動による水/熱輸送 ウェーブレット解析を応用して、低周波運動によって輸送される水/熱輸送を定量化し、その性質を調べた。低周波運動による水/熱輸送は、地表面熱収支のインバランスの原因ともなり、地表面フラックスの定量化における大きな問題であることから、チベット高原における乱流観測データに正規直行ウェーブレットを適用することによって、調べた。これによれば、チベット高原においては顕熱には、このような低周波運動に起因する水/熱輸送が卓越する一方、潜熱にはあまりみられないことが見いだされた。また、このような低周波運動は地表面のインバランスの一因である可能性があるが、この問題のすべてを解決しないことも明らかになった。
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Research Products
(10 results)
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[Publications] 浅沼順: "消散法による地表面フラックスの算定とその水田上での応用(2)-消散率算定に伴う諸問題"土木学会水工学論文集. 45. 247-252 (2003)
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[Publications] J.Asanuma, S.Aoki, N.Hayakawa: "Time-Scale Analysis of the Sensible/Latent Heat Transfer over the Tibetan Plateau using Orthogonal Wavelet Transform"Proc.Climate Conference 2001. (2001)
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[Publications] J.Asanuma, S.Aoki, N.Hayakawa, J.Kim, T.Choi, J.Wang, Z.Gao: "Time-Scale Structure of the Heat/Vapor Flux over the Tibetan Plateau revealed by Orthogonal Wavelet Transform"Proc.The 5th International Study Conference on GEWEX in Asia and GAME at Nagoya. (2001)
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[Publications] Jun Asanuma, Hirohiko Ishikawa, Ichiro Tamagawa, GAME-Tibet Boundary Layer Group: "Mobile Turbulence Measurements of Heat Fluxes over Tibetan Plateau"Proc.The 5th International Study Conference on GEWEX in Asia and GAME at Nagoya. (2001)
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[Publications] Jun Asanuma, Tetsuya Hiyama, Mikhail Strunin, M.Y.Metzrin, Rikiei Suzuki, Tetsuo Ohata: "Spatial scales relevant to the heat and scalar transports over Siberian Taiga forest revealed with the aircraft observation"Proc.The 5th International Study Conference on GEWEX in Asia and GAME at Nagoya. (2001)
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[Publications] 青木幸子, 浅沼順, 早川典生, GAME-Tibet境界層グループ: "ウェーブレット変換を用いたチベット高原上における熱輸送の時間-スケール特性の評価"水文水資源学会2001年研究発表会要旨集. (2001)
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[Publications] 浅沼順, 玉川一郎, 檜山哲哉, 松島大: "航空機を用いた大気-地表面相互作用の観測-その特徴と歴史、そして成果-"水文水資源学会誌. 16,2. (2003)
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[Publications] 浅沼順, 小林秋規, 早川典: "航空機を用いた非一様地表面からの顕熱フラックスの定量化にまつわる諸問題について-FIFEにおける航空機観測データの再評価-"水文水資源学会誌. 16,2. (2003)
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[Publications] 松島 大, 浅沼 順, 檜山哲哉, 玉川一郎: "熱赤外リモートセンシングと熱収支法に基づいた地表面熱フラックスの推定法"水文・水資源学会誌. 16,2. (2003)
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[Publications] Hiyama, T., Strunin, M.A., Suzuki, R., Asanuma, J.: "Aircraft Observation of the Atmospheric Boundary Layer over Non-Homogeneous Surface in Eastern Siberia"Hydrological Processes. (印刷中). (2003)