2001 Fiscal Year Annual Research Report
ロイコ色素材料を用いた低線量γ線検出システムの開発
Project/Area Number |
13750783
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
太刀川 達也 埼玉大学, 工学部, 助手 (20251142)
|
Keywords | ロイコ色素 / ガンマ線 / ドシメトリー / フェノチアジン / o-ニトロベンジルエステル / 放射線感応性色素 |
Research Abstract |
本年度は、色素骨格としてフェノチアジン系色素を用いる系について検討した。すなわち、3,7-ビスジメチルアミノ-5-フェノチアジンの10位の窒素にo-ニトロベンジルオキシカルボニル部位を有する化合物(1)、及び、t-ブトキシカルボニル部位を有する化合物(2)を合成し、その光・酸・放射線による発色挙動を調査した。ロイコ色素を放射線検出に用いる利点は、一段階で発色するため、発色条件の検討が比較的容易であり、また、試料の調製や製品の作成に対する手間が少ないことである。 フェノチアジン系色素の合成は、メチレンブルー(3)を出発原料にトルエン・水の混合溶媒中、亜ジチオン酸ナトリウムで還元した後、トリホスゲンを用いてクロロホルミル化し、o-ニトロベンジルオキシ基、t-ブトキシ基を保護基として導入することにより行った。それぞれ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで単離し、アルコール溶媒から再結晶することにより、二種類のフェノチアジン系ロイコ色素1,2を得ることができた。 紫外光照射実験では、それぞれのアセトニトリル溶液に、100Wの高圧水銀灯を照射することにより、脱保護反応により生成する3の吸収に相当する655nmでの吸光度の増加を確認した。また、p-トルエンスルホン酸を用いた酸添加実験については、ジメチルスルホキシド中、70℃で、1では初期段階でわずかに吸光度が増加したものの経時変化をほとんど示さなかったのに対し、2は時間の経過に応じて655nmの吸光度が増加していくことを確認した。よって、ロイコ色素2より1の方が、放射線感応性色素に相応しいことがわかった。 γ線照射実験は、1,2とも目視で確認できるような強さではないが、吸収線量に応じて、3の吸収に相当する655nmにおける吸収極大がわずかに増加していることが確認できた。また、より短波長の450-500nm付近に大きな吸収強度の増大が見られ、400Gyの吸収線量を与える照射から溶液が黄色に着色している様子が目視によって確認できた。色素骨格にイオウ原子を含んでいることから、C-S結合が照射で解裂し易いと考え、フェノキサジン系色素の合成を検討している。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] T.Tachikawa, Y.Morinaka, S.Tokita: "Novel Color Formers Having a Phenothiazine Moiety"J.Photopoly.Sci.Technol.. 14. 245-250 (2001)
-
[Publications] K.Hiruta, S.Tokita, T.Tachikawa, F.Noguchi, K.Nishimoto: "Precise PPP molecular orbital calculation of excitation energies of polycyclic aromatic hydrocarbons.Part6.Spectrochemicalatomic softness parameter"J.Chem.Soc.Perkin Trans. 2. 975-980 (2001)
-
[Publications] S.Tokita, F.Watanabe, K.Hashimoto, T.Tachikawa: "Application of Photo Acid Generators for γ Rays Detective Materials"J.Photopoly.Sci.Tecnol.. 14. 221-224 (2001)
-
[Publications] T.Miyaji, S.Tokita, T.Tachikawa, C.Azuma: "Development of a Radiation Dosimeter Consisting of Leuco Crystal Violet and a Small Amount of Halocarbons"J.Photopoly.Sci.Technol.. 14. 225-226 (2001)
-
[Publications] D.Goma, I.Nagashima, T.Tachikawa, H.ShiroishiI, M.Kaneko, S.Tokita: "Reaction of 5,8-Diphenyl-5,8-dihydroanthra[1,9-b'c']dipuinoline of Its Endoperoxide with Trifluoroacetic Acid"J.Photopoly.Sci.Technol.. 14. 239-244 (2001)
-
[Publications] T.Tachikawa, S.Tokita, K.Somekawa: "Theoretical Study on the Position of Protonation of Benzodixanthene Endoperoxide and its Analogs"J.Comput.Aided Chem.. 3. 8-14 (2002)