2001 Fiscal Year Annual Research Report
高活性耐熱性アスパルターゼ反応機構の複合体結晶解析による解明
Project/Area Number |
13760070
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤井 知実 京都大学, 化学研究所, 助手 (50260617)
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Keywords | 構造生物学 / X線結晶解析 / アスパルターゼ / 耐熱性 / 立体構造 / 結晶構造 |
Research Abstract |
BacilluS sp. YM55-1アスパルターゼの分子モデルの構築と精密化を分解能3.0Åで行っていたが、より精密な分子モデルを得るため、さらに高分解能での精密化を目指した。高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所放射光施設を使用して温度100Kにおけるクライオ実験により測定した2.5Åの回折強度データに対して分子モデルの精密化と修正を繰り返した。その際結晶の非対称単位中に2サブユニットを含んでいたので、電子密度図の平均化や非結晶学的な対称操作による制約をかけることでより効率的な精密化を行った。最終的に、アミノ酸残基5〜466×2と水分子225個を含んだ分子モデルを構築し、R値22.2%まで精密化を行なうことができた。本アスパルターゼのサブユニットは、5本のαヘリックスと2本のβストランドを含むN末端大ドメイン、主に長い5本のαヘリックス束からなる中間ヘリックスドメイン、数個の短いヘリックスを含むC末端小ドメインの3つのドメインにより構成されている。4量体分子は各サブユニットの中間ヘリックスドメインのαヘリックス束が会合することで20本のαヘリックス束を形成し、3つの分子内2同軸が存在する配置になっている。本アスパルターゼは、大腸菌由来アスパルターゼと49%、大腸菌由来フマラーゼと41%のアミノ酸配列の相同性があり、サブユニットの2次構造やフォールディング等の全体構造は類似していた。しかしながら、ループ構造やドメイン間の相対的な方向や中間ドメインのαヘリックスの湾曲の程度などの構造要素間の相対的な配置は、大腸菌由来アスパルターゼよりもむしろ大腸菌由来フマラーゼの方に類似していた。また、本耐熱性アスパルターゼは他の2酵素に比べて、サブユニット間の水素結合とイオンペアの数が増加していることが判明し、このことが耐熱性獲得の主要因であると考えられる。
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