2001 Fiscal Year Annual Research Report
TRPチャネル蛋白のヘテロ多量体形成によるストア作動性カルシウム流入機構の再構成
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13770039
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
佐藤 栄作 秋田大学, 医学部, 助手 (10282162)
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Keywords | TRP遺伝子 / ストア作動性カルシウム流入 / イオンチャネル / 血管内皮細胞 |
Research Abstract |
ストア作動性Ca^<2+>流入(SOC)機構は,血管内皮などの非興奮性細胞において,細胞の生理機能の調節に重要な役割を果たしている.TRP(transient receptor potential protein)チャネルファミリーは,大きく3つのサブファミリー(STRP,LTRP,OTRP)に分類される.SOCの分子本体の候補であるSTRPは現在までに7種類の存在が報告されているが,個々のSTRPの発現実験では内皮細胞で認められるSOC機構を十分に再現できていない.本課題では,STRPチャネルが同一の細胞内に数種類共存していることに着目し,それらの共発現によって,SOC機構を再構成できるか否かを検討することを目的としている.SOCの認められる培養ヒト大動脈内皮細胞には,mRNAレベルではTRP4以外にTRP1,3および6が存在しており,本年度は,培養ヒト大動脈内皮細胞からRT-PCRによってTRP1を単離した.TRP6に関しては,抗TRP6抗体を用いて免疫染色を行い,TRP6が蛋白レベルで細胞膜上に局在していることを確認した.現在は,すでに単離しているラットTRP4とTRP6をタンデムに連結したcDNAを作成中である.今後は,TRPチャネルを共発現させた細胞を用いた機能解析を行うとともに,実際にどのようなヘテロ多量体形成が存在しているのかを検討していく予定である. また,培養ヒト大動脈内皮細胞には,STRP以外にも機械刺激の一つである低浸透圧刺激によって細胞内にCa^<2+>流入を引き起こすOTRPC4が存在していることを明らかにした.このチャネルは,低浸透圧刺激だけでなくphorbol esterによってもCa^<2+>流入を引き起こしたが,細胞内Ca^<2+>ストアの枯渇によるSOC機構には関係していなかった.OTRPC4のクローニングの過程で,N末の一部が部分的に欠損したスプライシングバリアントも同定したが(OTRPC4β),このバリアントは,低浸透圧刺激やphorbol esterによって全く活性化されなかった.このことから,OTRPC4βの欠損部分がOTRPC4の機能発現に重要なドメインを含んでいることが推定された.
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