2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13770404
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
藤田 尚代 慶應義塾大学, 保健管理センター, 助手 (90296624)
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Keywords | 多発性嚢胞腎 / MAPキナーゼファミリー / p38 MAPキナーゼ / Pax2 / TGF-β1 / 培養マウス尿管芽細胞 / 周期的伸展 |
Research Abstract |
多発性嚢胞腎は腎不全に至る重篤な遺伝性腎疾患である。嚢胞発生機序として嚢胞上皮細胞の異常増殖が示唆されている。細胞内シグナル伝達における中枢的酵素MAPキナーゼファミリーの一つであるp38 MAPキナーゼ(p38)は胎児腎に発現し、腎成長、ネフロン形成に必要な酵素である。申請者のグループはヒト多嚢胞性異形成腎およびヒツジ胎仔尿路閉塞モデル腎の嚢胞、異形成尿細管においてp38の発現・活性が増加していることを報告した(Kidney Int2002)。尿管芽由来の異形成上皮では細胞増殖が亢進し、転写因子Pax2、サイトカインTGF-β1の発現が亢進していることが知られている。今年度、尿路閉塞の流体力学的変化を、培養マウス尿管芽細胞を周期的伸展(20%、15-20サイクル/分)および非伸展下で培養することによりin vitroで再現した。p38、細胞増殖、Pax2、TGF-β1発現への影響を検討した。またp38が増殖亢進、Pax2発現、TGF-β1発現に関与しているか否かを検討した。(抗p38、抗活性型p38、抗Pax2抗体を用いたウェスタンブロットを行った。細胞増殖はBrdU取込みにより評価した。また培養上清のTGF-β1をELISAにより測定した。)周期的伸展刺激は尿管芽細胞においてp38活性化を介した、細胞増殖、およびPax2発現亢進を誘導した。以上から、p38の活性化が胎児期尿路閉塞による嚢胞形成に関与する可能性が示唆される。
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