2001 Fiscal Year Annual Research Report
網膜神経節細胞のタイプ特異的生存と細胞内シグナル伝達機構
Project/Area Number |
13771023
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三好 智満 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70314309)
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Keywords | 網膜神経節細胞 / 神経細胞死 / アポトーシス / ピクノーシス細胞 / 軸策切断 / 視神経 / カスパーゼ阻害剤 |
Research Abstract |
本研究の目的は、軸索切断による網膜神経節細胞(RGC)の細胞死メカニズム、そして生存・死に関わる細胞内シグナル機構が、細胞タイプ間でどのように異なるかを明らかにすることである。本年度は以下の研究を実施した。 1)視神経切断後のピクノーシス細胞の出現様式の検討 まず、アポトーシスの指標であるピクノーシス細胞が視神経切断後どのような時間経過で出現するか、又出現頻度が網膜の部位によって異なるかどうかを調べた。その結果、ニッスル染色によって観察した神経節細胞層におけるピクノーシス細胞の出現の割合は、切断3日後から急激に上昇し6日後にピークを迎え、14日後までにかけて徐々に減少することがわかった。次に網膜の中心部と耳側周辺部との間で比較した結果、6日後に中心部での出現頻度は16%であるのに対し周辺部では6%しか出現しておらず、網膜中心部に多く存在するβ細胞がアポトーシスに陥りやすいことが示唆された。 2)軸索切断後のRGCのカスパーゼ阻害剤による生存促進効果 次にカスパーゼ3の阻害剤であるz-DEVD-cmk 500ugを切断と同時に眼球内に注入し、細胞死が抑制されるかどうかを切断後1週間において調べた。その結果、RGC全体では、vehicleを投与した群は51.9%(N=5)の生存率であったのに対して、阻害剤投与群は75.2%(N=5)であり、生存促進効果が認められた。色素の細胞内注入によって細胞タイプを同定し、タイプ別に検討したところ、α細胞ではvehicle群81.5%(N=5)に対し阻害剤群83.5%(N=4)と生存率に差がなかった。しかしβ細胞ではvehicle群37.7%(N=3)に対し、阻害剤群70.7%(N=3)と生存促進効果が見られた。以上からβ細胞の切断後1週間以内の細胞死にはアポトーシスが強く関与していることがわかった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Morimoto T, Miyoshi T, et al.: "Electrical stimulation enhances the survival of axotomized retinal ganglion cells in vivo"Neuroreport. 13, 2. 227-230 (2002)
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[Publications] 三好智満, 森本壮: "網膜神経節細胞の変性・再生と電気活動"Molecular Medicine. 39. 113-119 (2002)