2001 Fiscal Year Annual Research Report
メカニカルストレスにより誘導される破骨細胞形成過程の遺伝子変異マウスを用いた解析
Project/Area Number |
13771269
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
橋本 文生 長崎大学, 歯学部・附属病院, 助手 (10325665)
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Keywords | メカニカルストレス / 破骨細胞 / 歯の移動 / マウス / RANKL / プロスタグランジン |
Research Abstract |
歯に矯正力(メカニカルストレス)を付加すると,圧迫側歯槽骨表面のみならず,歯槽骨表面から離れた歯槽中隔骨髄領域で,急速な破骨細胞形成が誘導される.しかし,この現象の詳細な分子機構については未だ不明な点が多い.そこで本研究では,破骨細胞形成に必須な局所因子である破骨細胞分化誘導因子(ODF/RANKL)の発現と,in vitroで骨芽細胞様細胞におけるODF/RANKL mRNA発現を増加させる骨代謝の重要なメディエーターと考えられているprostaglandin(PG)に焦点を当て検討を行った. ラット臼歯に矯正力を付加したとき,12時間後に破骨細胞数の有意な増加が認められた.同時に,この領域において,破骨細胞の周囲に線維芽細胞様細胞の増殖が認められた.In situ hybridization法の結果,これらの線維芽細胞様細胞にはODF/RANKL mRNAの発現が観察された.また,免疫染色の結果,周囲の骨細胞にPG合成酵素であるCOX-2陽性反応が認められるようになった.一方,PG合成阻害剤である,インドメタシンを投与すると,矯正力付加後の破骨細胞形成が有意に抑制された.以上の結果から,矯正力の付加により骨細胞によるCOX-2の発現が誘導され,局所でのODF/RANKLの発現が亢進し,破骨細胞形成が惹起されることが推察された. また,歯の移動モデルにノックアウトマウスを用いることにより上記のような複雑な分子間相互作用における各因子の役割がより明解になると考え,マウスにおける歯の移動モデルの確立を試みた.その結果,予備実験ではあるが矯正装置の装着によりマウスの歯の移動が可能であることを確認した.
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