2001 Fiscal Year Annual Research Report
ジルコノセン錯体の特異的反応性を基盤とする新規反応の開発
Project/Area Number |
13771339
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
伊藤 久央 東京薬科大学, 生命科学部, 講師 (70287457)
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Keywords | ジルコノセン錯体 / ジルコノセン-ブテン錯体 / 低原子価ジルコニウム / アルケニルカルバメート / 分子内カップリング反応 / γ-アミノ酪酸 / ピロリジン |
Research Abstract |
申請した平成13年度研究実施計画に沿い,ジルコノセン錯体を用いた新規反応の開発について検討を行った.その一環としてジルコノセン-ブテン錯体を活性種として用い,容易に合成可能なN-アルケニルカルバメート誘導体からの分子内エステル転移反応を経たγ-アミノ酪酸誘導体の簡便な合成法の開発に成功した.すなわち,本反応は分子内に存在する炭素-炭素二重結合とカルバメート部位のカルボニル基との低原子価ジルコニウム錯体を用いた分子内カップリング反応による環化と,引き続くシクロプロパン化,さらに後処理段階におけるシクロプロパン環の開裂によって進行するものと考えられる.最初の分子内環化段階で6員環を形成するような基質を用いた場合,カルバメート部位のCBZ基,Boc基を選択することにより,CBZ基を有する基質では6員環の形成,さらにBoc基を有する基質ではジルコニウム-アルケン錯体がアルキル鎖上を移動し,5員環を形成することを明らかとした.後処理段階においてヨウ素を系内に加え,ヨウ素原子を含むγ-アミノ酪酸誘導体の合成し,さらにこのものを塩基で処理することにより,ピロリジン-3-カルボン酸誘導体など含窒素環状化合物の簡便な立体特異的合成法の開発に成功した.これらの成果については現在,欧文誌に投稿中である.次年度はさらに検討を加え,分子内にキラル中心を有する基質を用い,光学活性なγ-アミノ酪酸誘導体,さらには置換基を有するピロリジン誘導体の合成法の開発と,それを駆使した生理活性物質の効率的合成を行う予定である.
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