2001 Fiscal Year Annual Research Report
転写伸長因子S-IIによる新しい遺伝子発現制御機構に関する研究
Project/Area Number |
13771376
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 貴浩 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (00323452)
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Keywords | マウス / カイコ / S-II |
Research Abstract |
本年度は以下に述べる点を明らかにした。 1.S-II遺伝子破壊マウス・カイコの作出 マウスについては、既に樹立していたS-II遺伝子ヘテロ欠損細胞をC57BL/6Jマウスより得た胚に注入してキメラマウスを作成する事に成功した。このキメラマウスを野生型C57BL/6Jメスマウスと交配することにより、agouti毛色をしめす仔マウスを複数得た。このマウスの遺伝子型をサザンブロット法により解析した結果、これらの仔マウスはS-II遺伝子をヘテロに欠損していることがわかった。この結果は、S-II遺伝子ヘテロ欠損は、細胞増殖・胚発生・成体の維持に影響を与えないことを示している。 一方、カイコについては、カイコS-II遺伝子ターゲティングベクターを組み込んだバキュロウイルスを作出する事に成功し、このウイルスをカイコ5令幼虫の体腔に注射し、S-II遺伝子ヘテロ欠損カイコの作出を試みたが、S-II遺伝子ヘテロ欠損カイコは得られなかった。現在、さらに多数の個体にウイルスを注入し、ヘテロ欠損体の作出に取り組んでいる。 2.S-IIにより転写伸長段階で発現制御を受ける遺伝子群の同定 既にすでに研究代表者が樹立しているS-II遺伝子ホモ欠損細胞株を利用して、野生株と比較してS-II欠損株で発現が消失・減少する遺伝子群を、DNAマイクロアレーによる発現解析により網羅的に検索した。その結果、約30倍の発現低下を示す5種の遺伝子を同定することに成功した。現在、ノザンブロット法を用いて、これらの遺伝子群の発現が確かに減少しているかを解析中である。今後、S-II欠損株に対してS-IIcDNAのトランスフェクションを行い、これらの候補遺伝子群の発現が回復するかを検討するとともに、実際にRNA鎖伸長段階で転写が停止しているか否かをNuclear Run-on Assay法により検討する計画である。
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