2001 Fiscal Year Annual Research Report
マウスP450(CYP4V3)の脂質代謝調節機構に関する研究
Project/Area Number |
13771387
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
藤田 吉明 昭和大学, 薬学部, 助手 (20286868)
|
Keywords | シトクロームP450 / 脂肪酸 / 脂質代謝 / ラウリン酸 / 組み換えタンパク質 / 4ファミリー / アラキドン酸 |
Research Abstract |
シトクロームP450(CYP)のうち、4ファミリーに属する分子種は主にロイコトリエン、プロスタグランジン、脂肪酸などの内在性基質の代謝を行なうが、近年その代謝産物が生体に様々な影響を及ぼすことが明らかになっている。ESTデータベースの情報をもとに同定したマウス新規P450(Cyp4v3)は従来報告されていた哺乳類のCYP4分子種と比較すると30%前後の低い相同性であるが、4ファミリー間において高度に保存された領域を有しており、この分子種も脂肪酸などの内在性基質の代謝に関わることが考えられた。本年度はこの分子種の機能を解析するために、まず手始めに各臓器での発現分布をノーザンブロット法により調べた。また、この分子種が代謝する基質およびどのような産物を産生するかについて検討するため、酵母内での発現を試みることにした。ノーザンブロットでは雌雄共に2.9kbの位置にシグナルが認められ、肝臓において最も強い発現が認められた。また、腎、肺、脳など、その他の臓器においても僅かながら発現が認められた。酵母内の発現のため、酵母用発現ベクターpAAH5にCyp4v3の翻訳領域を組み込んだ発現ベクターを作成し、これをAH22株に形質転換した。一定時間培養後、ミクロソーム画分を調製し、CO差スペクトルを計測することにより発現タンパク質の有無を検討した。その結果、比含量26.2 pmol/mg poteinの発現たんぱく質が得られたことを確認したので、このミクロソームをもちいてその代謝活性について検討することにした。哺乳類CYP4分子種の多くがラウリン酸の12位および11位の水酸化活性をもつことから、まずラウリン酸の代謝能について検討した。ミクロソームと基質を室温で一時間反応後、反応生成物を酢酸エチルにより抽出を行い、HPLCにより解析した。しかしながら、代謝産物と思われる産物は検出できず、この分子種はラウリン酸の代謝能をもたないことが考えられた。次年度ではアラキドン酸を含む種々の基質について検討を行う予定である。
|