2001 Fiscal Year Annual Research Report
職場における精神的健康維持・増進のための健康教育プログラム開発に関する基礎研究
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13771463
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
新納 美美 群馬大学, 医学部, 助手 (60323359)
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Keywords | メンタルヘルス / 健康増進 / 対人コミュニケーション / 労働者 |
Research Abstract |
精神健康度を上昇させる対人コミュニケーションの探索を目的とし、研究の主旨と方法に同意した首都圏3事業所に所属する35人の労働者を対象に面接調査(焦点面接法)を実施した。対象者の平均年齢は43.7歳、平均勤続年数は20.0年で、属性は、男性25人・女性10人、役職の無い者16人・役職のある者19人であった。調査期間は平成13年11月〜12月で、面接では、過去半年間で体験した、気分を良くさせた職揚の人との関わりについて出来るだけ具体的に想起し、関わりの場面とそのとき体験した気分を口述するよう対象者に依頼した。面接の状況は対象者の同意を得た上で録音し、逐語録を作成して内容分析を実施した。 分析の結果、対象者に気分が良いと感じさせた要素として、「行動の後押しをしてくれた」「自分の存在意義を確認できた」「職務遂行上の協力が得られた」「相手が自分の意に添った反応を示した」「相手との対等で自然な関係」「自分なりの自己表現を受けとめてくれる人の存在」「情緒的なサポート」が抽出された。また、分析可態な41場面について心理状態の変化のパターンを分析したところ、「前向きな気持ちになる」「近未来が開ける」「自己を肯定する」「他者を肯定する」「逃避する」「変化なし」の6パターンが抽出された。「自己肯定」を含むエピソードが最も多く半数以上を占めた。また、「逃避する」「変化なし」はいずれも1件で、「変化なし」の1例は忘れがたい怒りとくやしさが先行していた。 結果から、主観的な精神健康度を上昇させる対人コミュニケーションには、言葉として明確に表現されていなくとも、その人を肯定するメッセージが含まれることが示唆される。さらに、変化のパターンでは、絶え間無く迎えている未来時間を肯定的に受けとめる(あるいは受け流す)ことが出来るような変化が大半を占めていた。今後はこれらと客観的指標との関連を検討する予定である。
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