2001 Fiscal Year Annual Research Report
痴呆性老年者の摂食行動の回復に対応した環境アレンジメント
Project/Area Number |
13771541
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
山田 律子 北海道医療大学, 看護福祉学部, 講師 (70285542)
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Keywords | 痴呆 / 老年者 / 摂食行動 / 環境アレンジメント |
Research Abstract |
施設で生活する痴呆性老年者の自発的な摂食行動の回復に有効な援助方法としての環境アレンジメントの探求を目的として,摂食困難のある痴呆性老年者16人(介入群8人と対照群8人)を対象に,6ヵ月間の介入・参与観察に基づく前向き患者対照研究法で摂食行動を記述分析した. 対象にみる摂食困難の特徴は,「食べ始めることができない」「摂食中断後に再び食べ続けることができない」の2点に集約された.介入群と対照群の摂食行動の比較分析の結果,介入群では「摂食困難度」が重度の者ほど「自発摂食割合」「自発摂食持続回数」「初発摂食時間」「平均摂食インターバル時間」「摂食中断回数」は回復していたことから,環境アレンジメントは「摂食困難度」の重度の者ほど自発的な摂食行動を回復したといえる.有効な環境アレンジメントには,「対象のセルフケアを強めるための環境アレンジメント」と「対象が順応できるような物理的・社会的環境アレンジメント」の2つがあった.前者では,対象自身が手を動かして食べることを繰り返すことで食べる感覚を取り戻すよう摂食援助するほか,生活全般に渡るセルフケア(更衣,排泄など)においても対象自身が行うことを第一とし,介助を必要最小限にとどめるといった環境の一部である援助者のコントロールが有効であった.後者の物理的環境アレンジメントでは,食事環境の刺激のコントロールや対象にとって「頼みの綱」となれる食事の場をつくること,社会的環境アレンジメントでは,食卓を囲む仲間は5-6人の小グループで,同質の仲間関係(ポジティブな情の交流が可能な仲間,痴呆の重症度・摂食困難度・摂食ペースが同質)が有効であった. 以上より,痴呆性老年者の自発的な摂食行動の回復のためには,摂食時の援助のみならず痴呆性老年者の自己尊厳を保ち生活全般にわたって自発性を呼び起こすための環境アレンジメントによる援助方法が有効かつ重要である.
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Research Products
(1 results)