2001 Fiscal Year Annual Research Report
琵琶湖におけるカワウ問題解決への地域統合生態経済モデルの構築
Project/Area Number |
13780422
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木庭 啓介 京都大学, 情報学研究科, 助手 (90311745)
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Keywords | 養分循環 / 森林生態系 / カワウ / 鳥害 / 環境評価 / コンジョイント分析 / アンケート |
Research Abstract |
平成13年度は、「カワウ問題」の包括的理解に向け、数年間継続してきた自然科学的調査(物質循環、生態調査)に加え、社会科学的調査を開始した。 1.物質循環経路については、カワウによってもたらされる大量の窒素・リンがどのように生態系内を移動しているかについて調査を行った。窒素は土壌から溶存タイトして大量に移動してゆくのに対し、リンは土壌に吸着され森林にとどまることが示唆され、森林によって、養分のフィルタレーションが生じることが考えられた。菌類群集は分の影響により多様性が低くなることなども判明し、フンの影響は単なる養分のインプットにとどまらないことが示唆されている。 2.社会科学的な調査については、まず一般市民を対象としたfocus group interviewヲ行い、「カワウ問題」に関する認知度、並びに琵琶湖、滋賀県に存在する数多くの環境問題との関連について意見を頂いた。その意見に基づく形で、環境評価手法を用いた(コンジョイント分析)、「カワウ問題」の様々な属性(森林被害、漁業被害、カワウ保護、税金負担)に対して、どのような重み付けを市民は行っているのか調査した。調査はインターネットアンケートの形で実施され、カワウ個体群を全滅させることには強い抵抗感が存在すること、森林資源、漁業資源の完全回復を願うと言うよりもむしろ、それぞれの立場画才証言の被害を出し合うという痛み分けの方針に、好感を持つと言うことが定量的に測定された。また、自由記述欄の中には、カワウ駆除に反対、賛成双方の意見が多数あり、コメントを分類することにより、一般の市民が捉えている問題の姿を、より具体的に明らかにすることが出来る可能性が示された。
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