Research Abstract |
本研究は, 広域を対象とした自然環境の概略的把握とその評価について, 実際に道路建設が予定されている地域でのケース・スタディを通して, 1)その方法論の整理を行うとともに, 2)当該地における生態系管理指針を提示することを目的としている. 本年度(平成13年度)は, 主にA)モデルケースとなる対象地域(以下, モデル地域:北海道大学中川研究林)の広範な自然環境の把握・分析を行うための地理情報のデータベース化を行うとともに, B)先行研究を進めているサンプル地域(広島県瀬戸田地区)における環境立地分析等の方法論の検討を行った. これらを進めるに当たって, C)海外の研究事例について国際学会誌のレビューや国内の種々の著作から情報収集を進めた. D)関連学会等において本研究計画を提示し, 多分野の研究者と意見交換を行った. モデル地域においては, 既存の地図資料をもとに地形図, メッシュ標高, 傾斜区分, 斜面方位, 地質, 林相などの地理情報がデータベース化された. 森林の多面的機能に沿った環境機能評価を実施するためには, 集水域界, 崩壊地, 林況, 河川概況, 貴重な動植物分布状況等の地理情報を独自に作成し, そのデータベース化を進める必要がある. サンプル地域において, 環境立地分析手法を検討した結果, 重要な知見が得られた. 今までは, 地形, 地質, 土壌, 植生などの地理情報をオーバーレイ解析することによって, 量的に多く見られる立地(地形, 地質などの組み合わせ)を知ることはできたが, その組み合わせの重要性については議論できていなかった. 今回の検討では, 関連性(相関)の高い立地条件(組み合わせ)を検出するための統計手法について検討した. 統計手法は複数あるが, 適切な手法を選定することによって, その地域独自の環境立地を検出できることがわかった. この成果については, さらに検討を進めた上で公表するとともに, モデル地域での解析に適用する.
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