2001 Fiscal Year Annual Research Report
分子生物学的手法を用いた土壌中における硫黄脱窒細菌を主体とした微生物群の検出
Project/Area Number |
13780447
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長谷川 聖 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (00323519)
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Keywords | 硫黄脱窒 / 硝酸性窒素 / 亜酸化窒素(N_2O) / 微生物群集解析 / PCR-DGGE法 / オンサイト処理 / Thiobacillus denitrificans / バイオスティミュレーション |
Research Abstract |
農業由来硝酸性窒素の硫黄脱窒による除去を試行している現場にて、硝酸性窒素除去能、亜酸化窒素(N_2O)発生量、及び微生物相の違いを調査解析した。調査現場のひとつは、茨城に位置する谷津田であり、2001年6、10、12月の3度にわたり調査を実施した。ここでは、硫黄-CaCO_3顆粒を充填した40Lコンテナ2基を直列につなぎ、約45mgN/LのN0_3^-濃度の湧水を約200m/minで導水している。もう一ケ所は、埼玉県深谷市に位置し、同年11、12月の2度にわたり調査を実施した。ここでは、約200mgN/Lの高濃度N0_3^-を含むバラ栽培所排水を12m水路に、150〜350mL/minで導水しており、0〜10mには硫黄-CaCO_3顆粒を、10〜12mにはゼオライトを充填している。 いずれの場においても、流下方向に、N0_3^-の減少及びSO_4^<2->の増加が見られ、硫黄脱窒による除去が確認された。しかし、水温低下に伴い、N0_3^-除去能が低下し、温度への感受性が高いことが明らかとなった。またN_2Oは全ての地点で過飴和で溶存していたが、両現場共に大気へのフラックスは0.01%以下に低く保たれていた。 各場における微生物相の違いは、PCR-DGGE法により分析した。いずれの場においても流下に伴う微生物相の変動は少なく、系全体で、同一の微生物群が優先していた。しかし、埼玉と茨城間での微生物相の違いは大きく、異なる硫黄脱窒細菌が優先していたと考えられる。また、優占種はいずれも、主要な硫黄脱窒細菌と考えられているThiobacillus denitrificansの純菌株とは異なる塩基配列を有していた。よって、硫黄を供与した各現場に土着の硫黄脱窒細菌が優先種となるのではないかと、推測された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 甲斐隆典, 長谷川聖, 花木啓祐: "農業系有機資材を利用した硝酸態窒素窒素除去過程での亜酸化窒素生成評価"土木学会第56回年次学術講演会講演集. VII-167. 334-335 (2001)
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[Publications] K.Hasegawa, K.Hanaki: "Nitrous oxide and nitric oxide emissions during sulfur denitrification in soil-water system"Advances in Water and Wastewater Treatment Technology in-Molecular technology, nutrient removal, sludge reduction, and environmental health T. Matsuo, K. Hanaki, S. Takizawa and H. Satoh(eds.), Elsevier, The Netherlands. 185-196 (2001)
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[Publications] 清水桂, 長谷川聖, 花木啓祐: "硫黄脱窒を用いたオンサイトでの硝酸態窒素除去プロセスにおける微生物相の把"日本水環境学会年会講演集. 36(発表予定). (2002)