2001 Fiscal Year Annual Research Report
音声の遺伝―方法論の検討ならびに双生児音声データの収集と分析
Project/Area Number |
13871063
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
|
Research Institution | Kyushu University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
苅安 誠 九州保健福祉大学, 保健科学部・言語聴覚療法学科, 助教授 (00320490)
|
Keywords | 音声Speech / 遺伝Genetics / 方法論Methodology / 変動の問題Variability Problem / 音声変動の統制方法Control Methods for Speech Variability / 音響パラメータAcoustic Parameters / 個体内変動Within-Subject Variability / 個人差(個体間変動)Individual Differences |
Research Abstract |
音声信号には話者の生体・行動特性を示す音響情報が含まれると考えられ、抽出した音響パラメータを用いての話者認識や双生児での音声遺伝研究への展開が期待できる。しかし、音声信号にはかなりの個体内変動と個体間変動(個人差)が認められ、これらを統制する必要がある。そこで、本年度の研究では、変動を統制する方法論の検討を行い、次いで通常の音声サンプル収集法と個体内変動の抑制と個人差の顕在化が期待された音声データ収集法を少数例で試行した。また、個人差を理解するための基礎資料として、音声サンプルを大学生46名より収集した。さらに、次年度に行う双生児での調査のプロトコールを作成、調査対象へのコンタクトをとった。 1.方法論の検討:音声の変動、音声サンプルの収集法と測定(音響パラメータ)、音声遺伝・話者認識の調査研究についての文献収集とレビューをもとに、今後の調査研究での音声サンプル収集法および変動の統制方法についての提案を行った。 2.音声の個体内変動:成人男女・小児(学童)に有意味語(雨/ame/)100回,有意味語(朝/asa/)・無意味語(あぱ/apa/・あば/aba/)50回を生成させ、音響分析により音響パラメータ(基本周波数Fo,持続時間TD,第1〜3フォルマント値Fn)を抽出した。この結果、話者にかかわらず、Fo・TDとも正規分布をとり、変動係数は10%前後であった。また、音声材料にかかわらず、TDの変動率に大きな違いを認めなかった。 3.音声変動の統制:反応時間(RT)パラダイムと遅延聴覚フィードバツク(DAF)を上記の対象者に各30回試行した。RT条件では、話者にかかわらずTDの短縮と分布の歪みを認めた。個人差の顕在化が期待されたDAF条件では、成人男子と小児でTDの延長、成人女子で著変なし、であった。 4.音声の個人差・基礎資料:大学生46名より上記の方法(2〜3)を含む音声サンプルを収集した。音響分析の自動化をはかり、音響パラメータ抽出を継続的に行っている。 5.双生児調査の準備:上記の研究結果をもとに、音声データ収集のプロトコールを作成した。調査対象とのコンタクトがとれたので、次年度上半期より双生児サンプルでの音声の収集と分析を行う。
|
Research Products
(2 results)