2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13872005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中山 信弘 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (40009816)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 立 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 助手 (00323626)
山神 清和 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 助手 (50334298)
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Keywords | IT / 情報通信技術 / 知的財産権 / 特許 / 著作権 / コンピュータ プログラム / 契約 / 秘密 |
Research Abstract |
現在知的財産制度についての関心と期待が高い。2002年7月には知的財産戦略大綱が出された。しかし大綱は知的財産権の強化を謳うのみではない。知的財産制度の弊害、限界もまた留意されなければならない(中山信弘「IT社会における知的財産法の展開」ジュリスト1227号(2002年)6頁以下)。本年度の研究では、社会において知的財産法の果たすべき役割を以下の視点を軸に検討した。 第一に、特許法における発明の概念について。ソフトウェア関連発明の特許対象性については「自然法則を利用した」(特許法2条1項)ものか否かにつき議論があった。平成14年の法改正により当面の課題には対処したものの、発明の定義についての根本的な改正は見送られている。山神清和「発明概念の再構築-近年の欧米におけるソフトウェア関連発明に関する議論を素材として-」工業所有権法研究125号(2002年)1頁以下は、幾つかの視点から発明の定義規定を再検討したものである。この論文では現在の産業構造の変化を踏まえ、特許法が本来何を保護の対象とすべきか(特に純粋ビシネス方法を保護の対象とするべきか)という視点を中心に据えて検討を行った。 第二に、情報契約・技術的情報保護手段について。技術又は契約によるアクセスコントロールは、知的財産制度に対し深刻な問題を提起している。あらゆる情報の保護が可能となり(保護対象)、また利用者は情報提供者により当該情報の利用につき様々な制約を課されうる(保護範囲)。また不正競争防止法が保護してきた営業秘密は、情報提供者と利用者との密接な人的な関係を前提としたものであった。しかし技術的保護手段は人的な関係を予定していない。アクセスコントロール自体を法的に保護することは、法体系のみならず社会の変容を招きかねない。これらの問題意識を踏まえて、現在アメリカ等の状況を検討しており来年度も研究を継続する予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 中山 信弘: "電子商取引等に関する準則への期待"経済産業ジャーナル. 373号. 16 (2002)
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[Publications] 中山 信弘: "IT社会における知的財産法の展開"ジュリスト. 1227号. 6-8 (2002)
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[Publications] 山神 清和: "発明概念の再構築-近年の欧米におけるソフトウェア関連発明に関する議論を素材として-"工業所有権法研究. 125号. 1-25 (2002)
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[Publications] 中山 信弘: "中里実・石黒一憲編著『電子社会と法システム』デジタル時代の知的財産権(新世社)"230-245 (2002)