2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13874063
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
佐藤 博明 神戸大学, 理学部, 教授 (60019495)
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Keywords | 火山岩結晶組織 / 粘性係数 / 1気圧溶融実験 |
Research Abstract |
実験試料として、久米島のピクライト溶岩のサンプリングをおこなった。ピクライトを選んだのは、1気圧ではかんらん石がリキダス相であり、かんらん石の形状は通常の斑晶鉱物としては球に近い形状であるため補正式が比較的簡単であることが予想されるためであった。天然の産状は、厚さ0.2-5m(平均2m程度)のアア溶岩の累積からなるもので、溶岩流の厚さからの見積りと、メルト組成、温度、結晶量から見積もった粘性係数はほぼ10^2-3 Pa secと見積もられる。 次に、室内実験では高温炉のるつぼに入れられた少量試料についての粘性係数の測定のため、粘度計の較正を珪酸ソーダを用いて粘度較正のための経験式を得た。ただ、この較正係数についても、以下に述べるような問題が認められた。次に、実際のピクライト試料をるつぼに入れて溶融し、粘度計の計測用スピンドルを上方からるつぼに挿入して粘度測定することを試みているが、次のような問題があり、定量的な値を得るに至っていない。(1) ピクライトの融点が高温(>1400℃)であるために、電気炉のシール用Oリングが焼けてシール不十分となり、酸素分圧の制御が不十分である。(2)、粘性が大きいメルトの場合、回転するにつれ、スピンドルの周囲にメルトが付着上昇し、液面がスピンドルに沿って上に突出した形状となるため、それにつれて見かけの粘性が上昇して再現性が十分得られない(条件により3〜4倍の変動が生じる)。(3)るつぼ容器の高さ(45mm)が不十分であったため、液面高さやスピンドルの位置の調整により粘性係数の値に数倍の変動が生じ再現性が不十分。これらの点について、現在次のような対策を検討中である。(1)については、これまで、シリコンゴムOリングで1200℃程度までは電気炉の気密に問題ないため、融点の低い試料(玄武岩)を用いて実験をおこなう。(2)については、液面のスピンドルに沿っての上昇は、回転トルクが大きい時に顕著であるため、測定可能な範囲でできるだけ回転トルク(%)が低い状態で測定できるように実験条件を保つ。(3)については現在、深い白金るつぼ、スピンドルを発注している。
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