2001 Fiscal Year Annual Research Report
果樹ハダニ類のバイオコントロールの可能性を秘めた天然物の発見と防除への展開
Project/Area Number |
13876009
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
後藤 哲雄 茨城大学, 農学部, 教授 (60178449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高原 英成 茨城大学, 農学部, 教授 (30122063)
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Keywords | ミカンハダニ / 成長阻害物質 / ミヤコカブリダニ / ハダニアザミウマ / ナシ / 人工飼料 |
Research Abstract |
本研究では、果樹葉から分離したハダニ類成長阻害天然物の構造決定とその合成、および合成物質を利用したバイオコントロールへの展開の可能性を検討することを目的とした。 1.ハダニ類の成長阻害物質の産生には年次変動があり、ハダニの成長阻害効果の強い年と弱い年がある。これまでの試験で阻害効果が高かった1997年と1998年のナシ葉を用いて、各ステップでバイオアッセイを行いながら、物質の抽出・濃縮過程を繰り返し、同阻害物質の単離・精製を行った。その結果、凍結したナシ葉240gに含まれる阻害物質を0.5mg得ることが出来た。 2.成長阻害物質の分子量をGC-MSによって測定したところ、分子量は299であることが分かった。 3.FT-NMR(フーリエ変換核磁気共鳴法)とFT-IR(フーリエ変換赤外分光法)により、本物質の構造解析を行った結果、本物質の基本骨格はベンゼン環を持つアミドエステル二重閉環構造であることが分かった。 4.ナシ葉から抽出した成長阻害物質を混入した人工飼料を摂食して発育が停止した第2静止期若虫(阻害物質区)、人工飼料で発育した第2静止期若虫(人工飼料区)、ダイダイ葉上で発育した第2静止期若虫(葉上区)を餌として、ハダニの天敵であるミヤコカブリダニとハダニアザミウマを飼育した場合、2種の天敵の発育期間、生存率、捕食量には試験区間に差がなかった。 5.また、雌成虫の産卵数、その産下卵の孵化率、生存率、雌率を検討したところ、いずれの値にも試験区間に差はなかった。したがって、ハダニ類成長阻害物質を摂食したハダニを餌にしても天敵への影響はないと思われる。 6.現在、本化合物の最終的な構造決定作業と、本物質のハダニや天敵への散布試験を行っている。
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