2001 Fiscal Year Annual Research Report
先天性横隔膜ヘルニアの病態解明―胎生期肺動脈病変に対する分子生物学的検討―
Project/Area Number |
13877295
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
棟方 博文 弘前大学, 医学部・附属病院, 教授 (80113835)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須貝 道博 弘前大学, 医学部・附属病院, 助手 (70206390)
小田桐 弘毅 弘前大学, 医学部・附属病院, 講師 (60250601)
|
Keywords | 先天性横隔膜ヘルニア / 肺低形成 / 遷延性肺高血圧症 / nitrofen / 肺動脈 / DNA |
Research Abstract |
実験的に作製したラットの横隔膜ヘルニア(CDH)がヒトのそれと同様に肺低形成を伴った適切なモデルであるかを検討した。まず成熟雌雄SDラットを交配させ、膣栓を確認した日を妊娠0日とした。妊娠10日目にCDHを誘導するために2,4-dichlorophenyl-p-nitrophnylethel(nitrofen)100mgをコーン油1mlに溶解し、胃ゾンデを用い胃内に投与した。対照群はコーン油1mlのみを投与した。妊娠20日目にエチル麻酔下に帝王切開にて胎仔を回収し、肺の質重量、DNA量を1)CDH群、2)非CDH群、3)対照群の3群に分けて検討した。さらに肺組織の冠状切片をElastin van Gieson染色し、肺動脈壁の厚さを観察した。なお、CDH群は、ヒトでは大部分が左側に発生することから左側発生例について検討した。その結果、肺質重量は1)CDH群(n=19):左肺27.2mg(5.9mg/g体重)、右肺:60.6mg(13.0mg/g体重)、2)非CDH群(n=34):左肺43.4mg(9.1mg/g体重)、右肺:80.7mg(16.9mg/g体重)、3)対照(n=40):左肺:61.9mg(12.0mg/g体重)、右肺:117.0mg(22.8mg/g体重)であった。DNA量は1)CDH群(n=8):1.215(μg/mg肺)、34.99(μg/肺)、7.296(μg肺DNA/g体重)、2)非CDH群(n=5):1.125(μg/mg肺)、50.51(μg肺)、10.22(μg肺DNA/g体重)、3)対照(n=21):0.792(μg/mg肺)、44.70(μg/肺)、9.182(肺DNA/g体重)であった。以上より、CDH群は非CDH群と対照群に比し、胎仔体重1g当たりの肺質重量ならびに肺DNA量は有意に少なく(p 0.05)、CDHラットの患側肺は低形成を来たしているものと判断された。一方、肺動脈の厚さを観察したところ、CDH群では他の群と比較し肺動脈の外膜および中膜が著明に肥厚し、ヒトのCDH所見と合致していた。
|