2001 Fiscal Year Annual Research Report
生物のサイズを決定する2つの細胞数計数蛋白質の競合作用の解析
Project/Area Number |
13878142
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
安川 洋生 富山大学, 工学部, 助教授 (60242525)
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Keywords | 細胞性粘菌 / サイズ / 細胞接着 |
Research Abstract |
細胞性粘菌のサイズ決定因子の候補遺伝子としてcountin1とcountin2を解析した。これらの遺伝子はよく似ておりアミノ酸レべルで40%一致する。countin1遺伝子破壊株は、野生株より多くの細胞が集合しサイズの大きな多細胞体を形成するが、countin2遺伝子破壊株は逆に野生株より少ない細胞数から成る小さな多細胞体を形成する。また、countin1破壊株とcountin2破壊株を混合培養するとほぼ正常のサイズの多細胞体を形成する。これらのことは、countin1とcountin2の綱引きにより多細胞体を構成する細胞数が決まりその結果サイズが決まる、というサイズ決定機構を示唆している。サイズ決定の具体的な機構は何かを明らかにするため私は細胞接着因子に注目した。細胞性粘菌においては現在3種類の細胞接着因子(gp^<24>,gp^<80>,gp^<150>)が同定されている。野生株および遺伝子破壊株におけるこれらの遺伝子発現を調べたところcountin1破壊株では発現量が上昇しておりcountin2破壊株では逆に減少していた。これらの結果から野生株の細胞性粘菌はcountin1を発現して細胞接着因子の発現を抑制し細胞集団が小さくなるようにする一方で、countin2を発現し細胞接着因子の発現を促進し細胞集団が大きくなるようにしていると思われる。このような細胞接着のバランスの上に適正な数の細胞が細胞集団を作り、その結果適正な身体サイズが決定・維持されると考えられる。 最近になり細胞性粘菌ゲノムデータベースから新規なcountinのhomologを見い出しcountin3と名付けた。本遺伝子の機能については現在解析中である。
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