2014 Fiscal Year Annual Research Report
免疫細胞および自己免疫疾患のIL-6 mRNA調節におけるArid5aの役割
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13F03097
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岸本 忠三 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任教授 (10093402)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NYATI Kishan Kumar 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 転写後制御 / RNA結合タンパク質 / 自己免疫疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
炎症性サイトカインの1つIL-6は、さまざまな自己免疫疾患に関与することが知られている。我々は、IL-6 mRNAの安定化に寄与する分子AT-rich interactive domain-containing 5a (Arid5a)を同定した。主に、マクロファージにおけるTLR4受容体を介したシグナル伝達によりArid5aが誘導され、IL-6 mRNAの3'非翻訳領域に結合することで、IL-6 mRNAを分解するRegnase-1等のタンパク質からの攻撃をブロックし安定化する。IL-6 mRNAの安定化にArid5aが寄与することで、生体内のIL-6上昇に関与し、さまざまな自己免疫疾患に関与することが示唆されるが、Arid5a分子誘導機構、Arid5aタンパク質の制御機構については良く知られていなかった。我々は、マクロファージのTLR4を介したArid5aの誘導機構を詳しく調べた結果、Arid5aの転写活性化にNF-kBおよびAp-1が重要であることを突き止めた。また、Regnase-1とArid5aがその転写調節あるいは転写後調節に密接に関わり合っているか調べたところ、Regnase-1は、Arid5a mRNAの3'非翻訳領域を制御し、さらにはArid5a自身がArid5a mRNAの3'非翻訳領域をブロックしていることが明らかとなった。このように、生体内においても、Arid5a発現調節がRegnase-1と密接に関与していることが明らかとなり、今後の自己免疫疾患モデルマウスを用いたArid5aの役割について大いに役立つものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
IL-6 mRNAの安定化に寄与するArid5aの発現調節機構について詳細に解明した。この結果は、IL-6誘導性の自己免疫疾患等においてArid5aの発現がいかに制御され、IL-6産生に結び付くかについて有用であり、今後の計画を順調に進めることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、マクロファージだけでなく他の免疫担当細胞(たとえば、樹状細胞)におけるArid5aの役割を調べる。関節リウマチ等の疾患とArid5aの免疫担当細胞における発現を調べ、その密接な関連を調査する予定である。
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