2013 Fiscal Year Annual Research Report
ハイブリッド固体ゲート絶縁膜を用いた新奇なモットトランジスタの開発
Project/Area Number |
13F03502
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
井上 公 独立行政法人産業技術総合研究所, 電子光技術研究部門, 主任研究員
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KUMAR Neerai 独立行政法人産業技術総合研究所, 電子光技術研究部門, 外国人特別研究員
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Keywords | 強相関電子系 / モット転移 / FET / SrTiO3 / パリレン / High-k |
Research Abstract |
平成25年度は、我々が現有する半導体プロセス仕様の一連のフォトリソグラフィー装置で、ハイブリッド絶縁膜を用いた電界効果トランジスタ(FET)用のゲート絶縁膜の作製を行った。平成25年度の研究では、「パリレン層の作製プロセスを下部電極の作製前後の2回に分けることで、下部電極のバリとそれに起因するリーク電流の問題などを克服できるのではないか」というクマール氏の提案を検証することを目標としていたが、これは確かに効果的であることが判明し、検証に成功できた。我々は、パリレン1層の厚さを4nmにまで薄くすることにも成功した。これほどの薄いパリレン薄膜の報告例は世界初である。論文発表と特許申請を準備中である。さらにこのパリレン薄膜上に、高誘電率酸化物であるHfO2とAI203の薄膜を、原子層堆積装置を用いてわずか10nmの厚さで均質に積層ざせることにも成功した。この2層膜を収束イオンビーム加工装置(FIB)を用いて切断し、断面を透過型電子顕微鏡(TEM)や、走査型透過電子顕微鏡(STEM)とX線発光分光(XES)の複合装置により詳細に検討した結果、パリレンと酸化膜(さらに基板に用いたチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)と上部の金属電極)が互いに元素を混成することなく、きれいな2層膜が作製できていることが確認できた。研究実施計画ではそこまで想定していなかった。予想を上回る極薄で良質のハイブリッド絶縁膜が得られたというのは非常に意義のある結果である。ALD、FIB、TEM、およびSTEM+XESについては、物質材料研究機構のナノプラットフォームを活用して行った。ざらには翌年度の計画の前倒しで、SrTiO3単結晶上に作製したこのFETの伝導特性の極低温での評価を行7たが、これは装置の不具合でうまくいかなかった。しかしこれは次年度に予定通りの研究を行うための非常に良い準備実験となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は10月からの半年間の活動であったが、「フォトリソグラフィーのプロセスにおいてパリレンの成膜を2回に分けて行うことの効果」があるということを十分に検証できた。年度の目標は順調に達成することができたと考えている。さらに平成26年度に予定していたシンガポールの南洋工科大での実験を、平成25年度中に予備的ながらも行うことができた。残念ながらここで極低温装置に深刻な問題が見つかり、良い結果を得ることができなかったが、予備実験でそれを確認でき、来年度に向けて対策を講じられたということは、むしろ研究が順調に進展している証拠でもある。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は計画通り進んでいるので、現在は特に問題は感じていない。平成26年度はチタン酸ストロンチウム(STO)単結晶上に、有機無機ハイブリッド絶縁膜を用いたFETを、平成25年度の本研究で開発した新しいフォトリソグラフィーの手法を用いて作製し、チャネルの物性測定を行うのが主たる計画である。ただし、それに必要な極低温での電気抵抗測定装置(シンガポールの南洋理工大学の共同研究者が所有)が現在重篤な故障中であるので、もし使えない場合には理研、東大物性研、東北大などの装置を使わせてもらう予定でいる。
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Research Products
(12 results)