2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13F03766
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菅 裕明 東京大学, 大学院理学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ROGERS Joseph 東京大学, 大学院理学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 遺伝暗号 / 特殊ペプチド / チオオキシカルボン酸 / tRNAアシル化 / 翻訳 |
Research Abstract |
本研究計画では、リボソーム触媒によるチオオキシアミド結合の形成を検証し、翻訳システム内でチオオキシアミド結合を有するペプチドの合成に挑む。これまでチオオキシアミド結合をリボソームで形成できた例は報告されておらず、そのインパクトは極めて高い。また、チオオキシアミド含有ペプチドはペプチダーゼ耐性をもつことが期待できるため、形成反応が確認できれば、直ぐさま当研究室で持つRaPIDシステムに組み込み、ライブラリー合成へと展開する。またこれらのライブラリーを用いた薬剤探索も進める。ただし、上記のチオオキシアミド含有ペプチドの合成が達成できるかどうか、現状ではリスクがあるため、下記の薬剤探索においては、通常の特殊環状ペプチドライブラリーも先行させた。薬剤標的としては、酸化LDL受容体として知られるLOX1に結合する特殊ペプチドの探索、ならびにユビキチリガーゼの一つであるUSP15に結合する特殊ペプチドの探索を進める。前者の標的は、動脈硬化との関連が指摘されている標的であり、また近年プロテアーゼで切断された可溶化LOX1はリウマチ患者の血中で濃度が上昇していることも示唆されており、LOX1あるいは可溶化LOX1に結合し中和することのできる特殊ペプチドは、両疾患の治療に資する可能性がある。また後者の標的は、癌マーカーとしても知られ、低分子医薬品は発見されていないことから、その阻害剤の発見は大きなインパクトを与えると考えられる。本年度は、まずチオオキシアミド結合を有するアミノ酸の合成とその活性化体(ジニトロベンジルエステル)を合成した。その上で、対応するフレキシザイムを用いてtRNAにアシル化できるかを検証した。また、上記の薬剤標的に対して、特殊ペプチドの探索については現在進行中で、成果はまだ出ていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
フレキシザイムで、チオオキシカルボン酸のジニトロベンジルエステルを合成し、フレキシザイムによるアミノアシル化を検討した。残念ながら、フレキシザイムはチオオキシエステルを触媒することができなかった。そのため、再検討の必要性が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度も引き続き、チオオキシカルボン酸のtRNAへのチオエステル化を検討する。カルボン酸の誘導体として、シアノメチルエステル体を合成し、検討する予定である。
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