2013 Fiscal Year Annual Research Report
アーベル多様体に関する有限性とガロア表現の分類について
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13J00173
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小関 祥康 京都大学, 数理解析研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | アーベル多様体 / クリスタリン表現 |
Research Abstract |
(A)ガロア表現の合同について(九州大学の田口雄一郎氏との共同研究) 1 を素数とし、Eを1進数体の代数拡大体とする。いくつかの与えられた性質Pを持つ代数体上の絶対ガロア群のE係数半単純ガロア表現を二つ与える。『これらの法1表現(の半単純化)が合同であるときに、元々の二つのガロア表現が合同になるといえるか』という問題を考える。これに対し、いくつかの与えられたデータに依存した定数Cが存在して、1がこの定数Cより大きければ問題が肯定的な解を持つという成果を与えることができた。背景にはRasmussen-Tamagawa予想を一般の状況で解きたいという目論見があったのだが、今回の結果ではRasmussen-Tamagawa予想に対して大きな進展を与える結果を得ることはできなかった。そのかわりに適当な性質を持つ保型形式の非存在性に関する結果を得ることができた。 (B)ねじれクリスタリン表現に関する充満忠実性定理 K を完全体を剰余体に持つ混標数(0, p)の完備離散付値環、Gをその絶対ガロア群とする。2006年にKisinによって、Gのクリスタリンp進表現に関する充満忠実性定理が証明された」(Breuil予想)。今年度の研究成果として、この定理のねじれ表現類似を適当な条件下で証明することができた。更に、この「適当な条件」というのが本質的である(つまり、その条件を除くと充満忠実性が成り立たない)ということまで確認することができた。このねじれ版充満忠実性定理はこれまで知られていた結果の完全な一般化となっている。(ただし、証明の手法はpが奇素数の時にしか適用できず、p=2のときはW. Kim、T. Liu、E. Lauらによる(独立の)結果)。この研究を通して、Liu加群に関する多くの性質を知るととができたことは本研究の目的にも合致しており、今後の研究にも重宝されることが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Rasmussen-Tamagawa予想そのものへの大きな進展は見られ塗かったものの、「ガロア表現の合同」に関しては一定の成果を得ることができた。また、Liu加群に関してもその性質をより深く知ることができ、その結果ねじれ版充満忠実性定理を示すことができた。以上から②が妥当であると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
ガロア表現の合同をより詳しく追及し、Rasmussen-Tamagawa予想へ応用する。また、この年度に研究して得たLiu加群の性質を更に推し進めて、Liu加群側からのガロアコホモロジーの計算、ねじれ表現のクリスタリンへの持ちあげ問題などにアプローチする。
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Research Products
(8 results)