2014 Fiscal Year Annual Research Report
アーベル多様体に関する有限性とガロア表現の分類について
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13J00173
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小関 祥康 京都大学, 数理解析研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 整p進ホッジ理論 / semi-stable 表現 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「(1)アーベル多様体に関する個数の有限性予想--Rasmussen-玉川予想--」「(2)Liu加群の考察およびそのガロア表現への応用」の二つを主な対象としている.本年度は特に(2)に力を入れて取り組み下記の結果を得た. [背景] rを0以上の整数,Kを混標数(0,p)の完備離散付値体で剰余体が完全であるようなものとする.GをKの絶対ガロア群とする.整p進ホッジ理論において「Gの半安定p進表現の格子で,Hodge-Tate重みが0以上r以下となるもの」の成す圏Cを適当な線形データで分類することは一つの大きな鍵である.Liu加群は圏Cと圏同値を与える線形データであることが T. Liu によって証明された.一方でLiu加群の定義の条件からある不自然な条件を除いたものは弱Liu加群と呼ばれており,これがどのようなガロア表現と対応しているのかという問題があった. [成果と今後] 今年度の成果として上の問題を一般の状況下で完全に解決することができた.更にその証明においてT.Liuの結果を一般化することができた.より正確には,Kの有限次拡大体Lを固定し「Gの潜在的半安定p進表現の格子で,Hodge-Tate重みが0以上r以下,Lに制限すると半安定となるもの」の成す圏をC(L)としたとき,このC(L)と圏同値を与える線形データを構成した.L=Kのときはこの圏C(L)は上述の圏Cと一致している.本年度の研究により潜在的半安定表現の法 p 冪表現たちの分類ができるのではないかという自然な期待がある.また本研究により『弱Liu加群=Liu加群』となるためのKやrの条件が完全に決定されたことになる.Liu加群よりも弱Liu加群の方が条件は弱いため,具体的なLiu加群の構成の際に役に立つことが期待される.これらの結果はLiu加群の構造を詳しく知るという本研究の目的と合致するものである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Liu 加群の構造を知るという本来の目的に対し、今年度は弱 Liu 加群の本質的な性質の解明に成功した.また、Liu加群の構造の研究が進んだ成果としてTong Liu の理論の一般化もすることができた.したがって「おおむね順調に進行している」といえる.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度と前年度の研究成果を鑑みると,潜在的半安定表現の法p還元の計算やクリスタリン表現の分岐バウンドの計算に進むのが自然な流れと思われる.Liu加群の分類自体は階数2以下で部分的なことしかわかっていないため,まずはそこから手を付けていきたい.
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Research Products
(6 results)