2013 Fiscal Year Annual Research Report
理科における探究学習に関する研究―「探究のナラティヴ」による探究の全体像の理解―
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13J00655
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
石崎 友規 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 特別研究員(DO2)
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Keywords | 探究学習 / 探究の全体像 / 探究のナラティヴ |
Research Abstract |
本研究の目的は、「子どもたちに科学的探究の全体像を理解させるために、「探究のナラティヴ」を導入した教授ストラテジーを提案すること」である。本研究では、シュワブの探究学習論を吟味し、その中で提案された「探究のナラティヴ」を手がかりとして、科学的探究の全体像を理解させるための教授ストラテジーを開化するとともに、開化した教授ストラテジーをもとに授業実践を行い、教授ストラテジーの評価を行う。本年度取り組んだ研究課題は、以下の通りである。 シュワブの探究学習論の基底をなす探究観、知識観の解明 : シュワブ論文、並びにシュワブの探究観、知識観の解明を試みた論文を精査し、シュワブの探究観知識観を解明した。その結果、探究の二相性、探究の多様性、探究の社会性の観点を重視していることが明らかとなった。 シュワブの理論が具現化された科学教育教材の分析 : シュワブの理論をもとにした「探究への招待」の教材が開化され、BSCS生物教師用ハンドブックの中で示されている。BSCS教師用ハンドブックは、およそ50年前に初版が公刊されて以来改訂を重ね、2009年には第4版が公刊された。シュワブの理論が具現化された当該教材の分析から、本研究がねらいとする教授ストラテジー開化の基礎的知見を得た。この成果をまとめたものは、『教材学研究』への掲載が決定している。 シュワブが提唱した「探究のナラティヴ」の分析 : シュワブの提唱する「探究のナラティヴ」の方法をその具体例に基づいて分析し、授業で実践するために必要な要素を抽出した。この成果の一部は、日本理科教育学会全国大会において発表した。 教授ストラテジーの評価法の検討 : 「探究のナラティヴ」を用いた教授ストラテジーの評価方法を検討するための足掛かりとして、米国NAEP調査の手法の特質を明らかにした。この成果は日本科学教育学会研究会において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画通り、シュワブの探究学習論の中で示された「探究のナラティヴ」を用いた教授方略の概要は明らかになったが、その際の研究方法を若干変更し、分析の範囲を拡張して「探究への招待」の教材をも対象としたため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、「探究のナラティヴ」を用いた教授ストラテジーの開発を進め、授業実践、評価を行う。開化した授業を実践する学校等を決定していないため、調査を行う際の研究倫理に十分配慮しつつ、実際に授業を行う複数の学校やクラスを早急に決定する。
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Research Products
(2 results)