2014 Fiscal Year Annual Research Report
近世後期の大名家臣団における「家」結合の具体相とその変容
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13J00924
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Research Institution | National Museum of Japanese History |
Principal Investigator |
藤方 博之 国立歴史民俗博物館, 国立歴史民俗博物館, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 日本近世史 / 家族史 / 武家社会論 / 大名家臣団 / 家 / 共同性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、近世の政治権力を構成し、また近代においては家族制度の範型とされた武士の「家」について、博士論文に引き続きその実像を明らかにする研究を進める。特に、大名家を対象として、武士の「家」々の結合のあり方が近世後期においていかに変容していったかに焦点を当てる。その際、近代における士族の「家」についても分析対象に含め、近世から近代にかけて「家」のあり方を連続して分析する。このことによって、近代「家」制度の研究蓄積が進んでいる家族社会学・法社会学といった分野における知見との接続を図ることができ、近世から近代にかけて「家」の何が変化したのか、その全貌を捉えるための重要な一端を明らかにすることができると考える。 当該年度は、史料調査・整理を通じて、報告者の研究上利用できる史料の収集を進めつつ、成果としてまとめることを意識しながら作業に取り組んだ。 当該年度の中心的課題であった、近世後期の「家」結合の変容については、佐倉藩堀田氏の分析を進めるなかで、分析対象として絞りこんで検討すべき切り口を見出すことができた。具体的には、安政期以降の軍制改革と、改革中の家臣団の実態である。また、村方史料の伝存が比較的少ない佐倉藩領において、出羽国における飛地領の史料が分析に有用であるとの感触を得た。軍制改革との関連では、幕末期の飛地領における農兵取立と村側の対応について、分析を行った。 近世近代移行期の個別の「家」についての分析は、昨年度の段階で、堀田氏家臣の熊谷家文書のなかに、素材となり得る史料があるのではないかという感触を得ていた。これについて、当該年度は明治20年代の日記の読解を進め、分析を行った。 上記の分析と併行して、これまで主要な分析対象であった佐倉藩堀田氏との比較分析ができる大名家臣団を選択すべく、昨年度に引き続いて各地にて史料調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
報告者の当該年度における研究計画は、史料調査・整理を通じて、報告者の研究上利用できる史料の収集を進めつつ、成果としてまとめることを意識しながら作業に取り組むことであった。 史料調査については、全国各地の大名家文書や家臣の家文書に当たり、今後調査を深化させるべき対象を見出した。中心的分析対象である佐倉藩については、自治体等が保管している史料のほか、個人宅への調査参加によって、未整理史料の把握を進め、成果を口頭報告に盛り込むことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度は、近世後期から廃藩後までを連続的に捉え、武士の「家」結合のあり方が変容していくなかで、「家」の内部において変化は生じていなかったのか、個別の「家」を取りあげて検討する。史料としては、これまで収集したものと重なる部分もあるが、そのほか堀田氏家臣の家文書や、堀田家文書の近代史料分も用いる。 研究課題に対する切り口としては、個別の「家」の人間関係、経営状況、対外的な活動状況といった点を取りあげ、「家」の実態と、実態が発現する際の論理について明らかにすることを目指す。
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Research Products
(3 results)