2013 Fiscal Year Annual Research Report
神経性過食症患者に対する自尊感情向上プログラムの開発と評価
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13J00965
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
竹田 剛 大阪大学, 学院人間科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 神経性過食症 / 自尊感情 / 自己概念 / グラウンデッド・セオリー・アプローチ / 生き生きとした自己 / プログラム開発 / ランダム化比較試験 / プロセス研究 |
Research Abstract |
研究内容 平成25年度には、自尊感情に関する文献研究を通して、神経性過食症患者の自尊感情を向上する心理教育プログラムの開発を行った(交付申請書記載の研究1)。まずプログラムはグループ療法として実施することの有効性が見出された。次に介入対象としての自己概念は(1)抑うつ感情、(2)完璧主義と理想自己、(3)他者評価懸念、(4)自我同一性のゆれ、(5)対人関係の疎遠化、(6)まとめと予防、とするのが適切であると考えられた。さらに治療コンポーネントとして心理教育に加えて、自助グループ的な体験共有、認知行動療法を導入することが想定された。なお実施に際しては月に1回、1セッション90分とすることが適切と判断した。この枠組みをふまえ、プログラムの全セッションの実施計画を作成した。各セッションで提示するスライド等の作成も行い、予演会を行ってフィードバックを得、さらに修正を行った。加えて作成した内容についてフィールド長とのディスカッションも行い、臨床的妥当性を確認した。以上をふまえてプログラムの開発を完了した。 意義と重要性 神経性過食症患者の自尊感情の源である自己概念は、既存の量的研究では包括的に理解することが難しく、ありのままの自己に対する理解が不十分であった。本プログラムの独創的な点は、(A)様々に浮かび上がる生き生きとした自己を包括的に捉え、(B)個人のおかれている文脈まで精緻に理解していることである。そのため、より患者の心理的抵抗感の少ない、柔軟な介入が可能となる意義をもつ。このため本プログラムは、神経性過食症患者に安心感を与え、実施者に対する信頼感を生みだしやすくなると考えられ、治療への抵抗が議論される神経性過食症において重要な意味をもつ。さらに本プログラムは明確に手続き化されているため、実施者がより容易に患者のありのままの姿にアクセスできるようになり、治療のもつ難しさが軽減されるインパクトをもつ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した研究1を予定通りに完了させているため。なお研究2の「プログラムの効果研究と参加者の変容に関するプロセス研究」は、研究3「神経性過食症患者に対する効果研究とプログラムの改善・完成」についての実施許可をフィールド長から早期に得られたため実施せず、研究1・研究3をより充実させることに注力した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度実施予定の研究3についての研究デザインについて既に立案されており、またその実施許可をフィールド長から得ているため、スムーズに実施していくための土台が築かれている。また研究2の目的は研究3にて包括的に行えることになるため、臨床群のデータを中心としたより詳細な検討を行うことが可能となった。
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Research Products
(3 results)