2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J01251
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
関 繁人 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | CP非保過程 / K中間子 / J-PARC / 中性子 / 国際研究者交流 / アメリカ : 韓国 : ロシア : 台湾 |
Research Abstract |
本研究の目的は、KL→π^0νν崩壊を用いて、CP非保存過程を解明しようとするものであり、私は大強度陽子加速器施設J-PARCで行われている、KOTO実験に参加している。KOTO実験は、24年度のエンジニアリングランを経て、25年度5月に初の物理データ取得を行った。その中で私は、バックグラウンド排除とビーム中の中性子の測定に用いられる、光子中性子検出器の運用を行った。この検出器は、先行実験において主要であった、中性子由来のバックグラウンドの排除とその値の決定のために開発した検出器であり、その安定動作と精度良い較正メソッドが重要である。 25年度の研究において、私は検出器に用いたヨウ化セシウム結晶及び波長変換ファイバーの発光量を実験データより算出し、モンテカルロ・シミュレーションに組み込むことを行った。これら発光量は、検出器が真空中に置かれていることから、直接の測定が現状では困難である。しかし、バックグラウンド数の正確な算出には、モンテカルロ・シミュレーションにおけるエネルギー情報の精度が重要であり、この発光量を逐次見積もることは、エネルギー情報の精度向上には重要である。この成果は、今後の実験データ解析において、大きな意義を持つ。 また、ビームを受けた際の検出器の出力変動の見積もりを、LED構成システムを用いて行い、十分小さいことを確認した。基本的な較正は、ビームを受けていない状態で行うため、実際の物理データ取得の際は、この出力変動を考慮に入れて考える必要があるため、この結果についても、今後のデータ取得と解析において、重要である
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
検出器の較正メソッドの確立が難航したため、それが前提となる中性子測定やバックグラウンド数の算出が遅れていること、また、J-PARCの運用停止に伴い、物理データ取得時間が短縮されてしまったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
26年度後半に予定されている、物理データの取得に向け、必要となるいくつかの検出器のアップグレードとその性能試験を予定している。このアップグレードは、実際にK_L→π^Oνν崩壊事象の発見に必要な実験感度に到達するためには必須であることが、これまでのデータ解析でわかっている。これらアップグレードを終え、実際に物理データ取得を開始し、その解析を進めることによって、K_L→π^0νν崩壊分岐比の測定、あるいは上限値更新を目指す。
|