2014 Fiscal Year Annual Research Report
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13J01251
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
関 繁人 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | K中間子の物理 / 国際研究者交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、KL→π0νν崩壊を用いて、CP非保存過程を解明しようとするものであり、私は大強度陽子加速器施設J-PARCで行われている、KOTO実験に参加している。26年度において、KOTO実験は、25年度5月に行った初の物理ランの解析を進めた。その中で私は、検出器上流部に設置された光子中性子検出器およびその内側に設置された荷電粒子検出器を用いた解析を行った。 ビーム中の中性子に由来する背景事象を見積もる際に、検出器上流部の物質とK中間子崩壊に起因する荷電π中間子の相互作用によって生成されるπ0粒子が問題となることがわかっていた。私はこの影響を算出し、現在の統計では十分無視できることを確認した。これにより、検出器上流部のイベント数を用いて、シミュレーションと観測データ間の統計数のノーマリゼーションが可能になった。 また、次期物理ランに向けた検出器アップグレードと、既存の検出器の再立ち上げ及び運用にも携わった。特に、実験の要となる荷電粒子検出器を運用し、物理ランで使えることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
物理ランに向けた検出器のアップグレードと、各検出器の性能評価は、運用前の段階ではすでに終了し、物理ランに向けた運用が可能であるという結果を得ている。しかし、実際にビームを受けて物理データを取得、性能評価をするという目的は、2014年度にビームを受けることがかなわなかったため、2015年度に持ち越しとなった。以上をもって、達成度としてはやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度は、夏までに物理ランの取得を終え、その後データの解析を行う。 解析では、前回の物理ランで問題となっていた、ビーム中の中性子がカロリーメータに直接あたることから生じる背景事象の削減のための研究を進めていく。物理ラン中に、ビーム中に挿入したターゲットを用いた中性子イベント収集を予定しており、そのデータを解析することで、ビーム中の中性子への知見が得られると考えている。また、上流部の光子中性子検出器をもちいた、ビーム周りの中性子測定も予定しており、その解析結果も合わせて、中性子の素性を理解し、背景事象の見積もりを進め、分岐比上限値の更新を目指す。
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Research Products
(1 results)