2013 Fiscal Year Annual Research Report
脊索動物ワカレオタマボヤにおけるRNAiスクリーニングを用いた卵形成機構の研究
Project/Area Number |
13J01402
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
表迫 竜也 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ワカレオタマボヤ / RNAi / 動植軸形成 / 卵成熟 |
Research Abstract |
本研究の目的は動植軸形成過程を含む卵巣内で生じる卵形成機構をワカレオタマボヤを用いて明らかにすることにある。これまで動植軸に沿った非対称性に対する研究は長年行われてきたが、これらの違いが卵巣内でどのように形成されるのかという問題に対しては、ほとんど全ての生物で卵巣内へのアプローチが困難であったことから明らかにされていない。ワカレオタマボヤは脊索動物に属しながら、線虫に匹敵する単純さと利便性を備える為、発生メカニズムを研究するのに適した実験動物である。申請者は博士前期課程でワカレオタマボヤにおいて卵巣内顕微注入法を用いたRNAi法の確立を行った。これによりこれまで困難であった卵巣内での遺伝子機能を解析することが可能となった。そこでこの利点を生かし本研究では動植軸形成過程を含む卵巣内で生じる現象に対してRNAiスクリーニングを行う。 本年度はこのスクリーニングを行う為の準備段階として、1、cDNAライブラリーの作製。2、動物植物軸形成のマーカーの探索。を行った。 1のcDNAライブラリーの作成に関しては、成熟段階のワカレオタマボヤの卵巣を単離しサブトラクション法を用いて卵巣特異に発現するmRNAのcDNAライブラリーを作成することを試みた。この為に先ず、動植軸が形成するステージを特定する為のステージングを行い、これをもとに目的のステージの個体の卵巣を切り出しサブトラクションクローニングを行った。 2のマーカーの探索では、Oikobaseの情報をもとにマボヤで知られている植物極に局在する母性mRNAのオーソログの探索を試みたが、これまでこのような因子は特定できていない。今後は本年度行ったRNAseqのデーターをもとに更に探索を行うが、このような因子が見つからなかった場合は卵巣内での核と細胞膜の孔の配置から動植軸の乱れをモニター可能である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りcDNAライブラリーを作成し、来年度から始めるRNAiスクリーニングの準備が完成した。動植軸のマーカーとしての母性mRNAは見つからなかったが、他のマーカーにより動植軸の乱れはモニター可能なため、今後のスクリーニングに大きな影響はないと考えられる。よって本年度の研究はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は計画書の予定通り、本年度作成したcDNAライブラリーをもとにRNAiスクリーニングを行い、動植軸への乱れに関する表現型を探る。当初の計画では一度のインジェクションで10種類のcDNAを含むプールをもとにスクリーニングを行う予定であったが、サブトラクションクローニングにより卵巣特異的なcDNAのライブラリーを作成し、候補遺伝子を減らすことができた為、一度に5種類のcDNAを含むプールをもとにスクリーニングを行う予定である。
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Research Products
(2 results)