2013 Fiscal Year Annual Research Report
新規情報伝達分子PRIPの骨代謝制御における機能解析
Project/Area Number |
13J01683
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小谷 美穂 九州大学, 歯学研究院, 特別研究員(OC2)
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Keywords | PRIP / Presteoblast / BMPシグナル伝達経路 / Smad1 / BMP受容体 |
Research Abstract |
骨代謝におけるPRIPの機能を分子レベルで解明することを目的とし、野生型(WT)およびPRIP-KO (KO)の新生マウスの頭蓋骨由来細胞(preostcoblast, TOB)を用いた初代培養を行い、骨代謝を司るBMPシグナル伝達経路について生化学的解析を行った。 まず、WTおよびKOマウスにおけるBMP受容体(BMPR1AおよびBMPR2)の発現および局在について検討した。両遺伝子型のPOBをBMP存在下および非存在下で3日間培養した細胞からRNAおよび膜画分を調製し、RT-PCR、リアルクイムPCR、およびウェスタンブロッティングを行った。その結果、BMPR1AおよびBMPR2ともに、mRNAレベル、細胞膜上のタンパク質レベルで両遺伝子型においてそれぞれ同程度に発現していた。また、BMPR1AおよびBMPR2の局在について、同様に培養した細胞を用いて、免疫染色を行ったが、それらの局在に差は見られなかった。次に、WTおよびKOマウスにおけるBMPシグナル伝達について比較した。まず、BMPシグナル伝達経路の転写因予であるSmnd1のC末端のリン酸化動態を比較した。両遺伝子のPOBにBMP4を添加して0~150分間培養して細胞を回収し、ウェスタンブロッティングを行った。両遺伝子型においてBMP4刺激後60分のリン酸化程度がピークであったが、KOでは150分までリン酸化レベルが高い状態が持続した。併せて、Smad1のC末端の脱リン酸化動態についても比較したが、時間経過によるSmad1のリン酸化程度の減少、つまり脱リン酸化の推移には差がなかった。さらに、PRIPの有無がシグナル伝達系のどこに影響するか検討するために、Id1の転写活性について検討した。Smad1C末端の463番目と465番目のセリンをアスパラギン酸に置換して常時活性型にしたSmad1変異体および、野生型Smad1をId1WT4Fと共にWTおよびKOのPOBに遺伝子導入し、24時間培養後、ルシフェラーゼ活性を測定した。その結果、Id1の転写活性は、両遺伝子型で差はなかった。このことから、PRIPはSmad1リン酸化後の経路に関与していないことが示唆された。 また、BMPシグナル伝達経路以外の骨代謝に関わる経路として知られるCanonical Wnt経路についてId1WT4Fを用いてルシフェラーゼ活性を測定したが、両遺伝子型で差は見られなかった。このことから、PRIPは、BMPシグナル伝達経路特異的に作用していることが示唆された。 以上の結果から、PRIPはBMP受容体の活性調節を通してSmad1C末端のリン酸化制御に抑制的に機能していることが示唆された。従って、PRIPが欠損していうことでBMP受容体の活性が亢進し、smad1 C末端のリン酸化が亢進する。その結果、骨芽細胞分化が進み、骨形成が亢進するのではないかと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PRIPがBMPシグナル伝達経路のどこに作用しているのかを解明することを目的としているが、PRIPがBMP受容体の活性調節に関わる可能性があるところまで追究できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
PRIPがBMP受容体の活性調節に作用している可能性が示唆されたため、今後は、BMP受容体の活性について検討していく。しかし、BMP受容体の活性、つまりリン酸化レベルを直接的に比較することは容易でないため、間接的にリン酸化レベルを定量する方法をとる必要がある。
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Research Products
(1 results)