2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J01732
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
谷岡 謙 大阪大学, 人間科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 階層帰属意識 / 潜在クラス分析 |
Research Abstract |
本研究の目的は、階層認知メカニズムの解明と一般化を行い、日本の相対的特徴を明らかにすることである。具体的には、以下の2つの研究を遂行している。 【研究1】社会学・社会心理学の文献研究から理論的・計量的なモデルを構築し、大規模社会調査データ(SSM調査、SSP調査)の時点間比較を行い、階層認知メカニズムの解明を目指す。具体的には、細分化された階層認知や人びとが身近な他者との比較を通じて作り上げる階層イメージをモデルに導入することを考えている。2015年に行われる予定であるSSP調査データでこのモデルを検討する。 【研究2】World Value Surveyといった海外の大規模社会調査データの比較分析を行い、研究1で明らかとなった階層認知メカニズムが海外で適用可能か検討し、メカニズムの一般化を行う。また、国際比較を通じて、日本における階層認知メカニズムの相対的特徴を明らかにする。 平成25年度は、【研究1】については、第86回日本社会学会で研究発表を行い、報告知見に対して他の研究者からも好評を得た。その発表をもとに学術論文を執筆中であり、近いうちに投稿する予定である。この論文では、潜在的な構造を通じて、階層帰属意識が階層性を強めている現象を読み解くことを目的としている。具体的には、時代をグループ変数として多母集団同時潜在クラス分析を行い、抽出された潜在地位クラスと階層帰属意識の関連の時代変化を検討する。この分析から2つのことが明らかとなっている。1つ目は、高学歴化に伴い潜在地位クラスの割合が変化していること、2つ目は、潜在地位クラスと階層帰属意識との関連が変化していることである。この2つの変化によって、階層帰属意識の分布の無変化と階層性の強まりは生じていると考えられる。 【研究2】については、ニューヨークで開催された第108回アメリカ社会学会に参加し情報収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本社会学会において発表を行い、報告知見に対してその他の研究者からも好評を得ている。その発表を元に、学術論文を執筆中であり、近いうちに投稿される見込みである。また、東京大学社会科学研究所の二次分析研究会に年度を通じて参加し、成果報告会での報告や報告書の執筆に取り組んだ。その他にもSSPプロジェクトや2015年社会階層と社会移動調査研究会といった大型科研の調査に院生メンバーとして参加している。よって、この研究がおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
SSPやSSMいった大規模社会調査プロジェクトに参加しながら、それらのデータを用いて分析を進めていく。また現在のところ、日本のデータ分析が中心となっているので、平成26年度はWVSやISSPといった国際比較データを用いた分析を行っていく予定である。
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Research Products
(2 results)