2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J01840
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森田 健 大阪大学, 情報科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 発散級数 / q-Laplace変換 / q-差分方程式 / 接続問題 / Riemann-llilbert問題 / 不確定特異点 / q-類似 / 特殊函数 |
Research Abstract |
線型q-差分方程式の原点近傍における解と、無限遠点における基本解系の間の接続問題を解くことを考え、実際にラマヌジャン正則函数に付随する発散級数、3階方程式の解として現れる発散級数および発散型双方向級数に対して接続公式を明示的に与えた。 古典的に広く研究された超幾何微分方程式の接続問題では、接続係数が(ガンマ函数を含む)定数で与えられ、退化した場合も含めて系統的に研究された。また発散級数解については、角領域で漸近展開を持つことが知られている。 一方q-差分方程式の接続問題では、接続係数はqを一つの周期とする楕円函数で与えられることが確定型(非退化型)の場合に良く知られていたものの、不確定(退化)型の方程式が満たすq-超幾何函数の接続公式は(散発的に与えられた2例があるのみで)系統立てて調べられてはいなかった。これは2階線型q-差分方程式の退化に関する分類がはっきりしなかったためであるが、近年大山陽介氏による7つの重要なq-特殊函数を含む函数族の分類が与えられたことにより、接続公式の目標が明確になった。本研究ではこの退化の図式に基づき、種々の接続公式を導出することを目標としている。 だが、研究を進めるにあたって大きな問題点が存在する。解として現れる発散級数の意味づけが未だ明確になっていないことである。本研究ではこれらの発散級数に対して有効なq-Borel変換およびq-Laplace変換を用いることで、解として現れる発散級数に対して接続公式を具体的に与えることに成功した。 また、本研究において重要な役割を果たすq-Borel変換とq-Laplace変換を、「扱うことが出来る函数族を広げる」と言う目的のもとで拡張し、実際に応用可能であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
線型q-差分方程式の接続問題は、退化(不確定)型の函数が満たす方程式に関してはまだ知られていない部分が多く、明示的に与えられた接続公式もほとんど無かったが、q-Borel変換およびq-Laplace変換を用いることで新しい接続公式を(不確定型、特に発散級数に対して)与えることに成功した。また、上記における変換そのものを拡張することにより、高階の方程式や双方向級数のみたす方程式への応用も可能になった。
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Strategy for Future Research Activity |
上記に述べたように、q-Borel-Laplace変換はより高階の方程式などを含め、扱うことのできる対象が広がった。一方、高階の方程式を扱う場合、より発散の度合いの大きな級数が現れることがある。このため、従来の手法をさらに拡張する必要があるが、私が導入した2種類の拡張に加えてもう1種知られている変換が存在する。これらの変換の像がどのような差異を持つのか、どういった局面でどのような使い分けがなされるべきであるのかといったことは全く知られていない。未だ知られていない接続公式を導出することに加え、変換の使い分けの指針を与えることが今後の研究課題となる
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Research Products
(14 results)