2013 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ開口を用いた高濃度蛍光1分子イメージングによるRuvBの6量体形成機構解析
Project/Area Number |
13J02227
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩佐 拓磨 京都大学, 大学院生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | RuvB / 蛍光1分子イメージング |
Research Abstract |
本研究では蛍光1分子イメージングの手法を用いてRuvBと呼ばれるモータータンパク質の機能解析を行っている。RuvBは6量体のリング構造をとるモータータンパク質でDNA相同組み換えが行われる際に形成される十字型構造のDNA (Holliday Junction DNA)の周囲にRuvA4量体と共に複合体を形成し、ATP加水分解エネルギーを利用したDNAの巻き戻しを行うことで、相同組み換えを進行する。その配列はヒトのDNA安定化に大きく寄与するMGS1タンパク質に保存されており、またRuvBの属するAAA^+ATPaseファミリータンパク質は、生体内でATPの加水分解エネルギーを利用したDNAの複製や組換え・タンパク質の分解・細胞内輸送など多岐にわたる重要な役割を担っている。つまりRuvBの機能を明らかにすることはヒトのゲノム維持機構やAAA^+ATPaseファミリーに属する多くの生体分子の機能解明へとつながる。 本研究ではナノ開口を用いた高濃度条件下でRuvBの1分子イメージングを行うことで、これまでに溶液中のヌクレオチド条件がRuvBとHolliday Junction DNAの結合・解離速度に影響する様子を明らかにした。これによって溶液中のヌクレオチドがRuvBの構造に影響を与える可能性が示唆されていた。ただし溶液中にATPが存在する場合においては、速やかにHolliday Junction DNAが分解されるために観測を行うことができなかった。 また今回新たにRuvBのDNA巻き戻しドメインが結合できないように長さを調整したHolliday Junction DNAを用いることによってATP存在下でのRuvBの蛍光1分子イメージングに成功した。この時RuvBはHolliday Junction DNAと非常に速い速度で結合・解離を繰り返している様子が確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
顕微鏡のマシントラブルにより長期間研究の中断を余儀なくされたため
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Strategy for Future Research Activity |
RuvBのDNA巻き戻しドメインが結合できないように長さを調整したHelliday Junction DNA上では、RuvBはATP存在でHolliday Junction DNAと非常に速い速度で結合・解離を繰り返すという今回新たに得た知見と、これまでに判明していた溶液中のヌクレオチド条件がRuvBの活性に与える影響を比較しながらより詳細なRuvBの機能解明を目指す。
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