2014 Fiscal Year Annual Research Report
現代インドにおける公共空間の再編: ムンバイの市民社会運動を事例に
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13J02321
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田口 陽子 京都大学, 人文科学研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 市民社会 / 政治社会 / インド / ムンバイ / 中間層 / 人格 / 自己 / 空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はインドの市民活動家の人格と自己への働きかけというテーマを中心に研究を進めた。8月から9月には、インドのデリーおよびムンバイ周辺で、「中間層」の市民活動家を対象に現地調査を行った。調査内容としては、ムンバイで精神科医と心理学者が実施した「心理測定」を実施するための講座を受け、参与観察を行った。さらには、近年「新中間層」に人気を集めている「自己啓発(personality development)」の調査として、デリーで自己啓発講座を受講して参与観察した。
また、以下の学会や研究会での口頭発表を通して、国内外の研究者と議論を深めた。 1、国立民族学博物館共同研究会(4月):インドの知識人や活動家たちの間における「社会的なもの」と「再分配」についての異なる解釈やそれに基づいた実践を、西洋や日本における議論と比較検討した。/2、国際人類学民族学会議(IUAES)(5月):人類学における「人格」概念の展開を、アメリカ、インド、メラネシアを対象とした先行研究の系譜をたどりながら明らかにし、人類学的な比較の中で生まれた概念としての「dividualな人格」の可能性を提示した。/3、現代インド地域研究FINDAS研究会(7月):インドにおける「市民社会」の概念と実践について報告し、他分野の研究者や専門家との学際的な議論を行った。/4、PhDワークショップ(11月):「物質=コード」に基づくdividualな人格の議論を参照して、現代インドの市民社会の実践を理解するための視座を示し、国際的な研究者からのコメントを元に議論を深めた。/5、現代人類学研究会「人格、物質、コード」特集(11月):人格と自己に関する人類学的議論について、他地域を専門とする人類学者を交えたより広い視点からの再検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、国内外の学会発表を通して、さまざまな研究者との議論を行った。現地調査と文献調査もおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も当初の研究計画に沿って、インド、ムンバイでの現地調査と日本での文献調査を行う。現地調査では、市民社会団体の活動家達への継続的なインタビューと、活動内容の観察を主な内容とする。文献調査では、政治学や歴史学、哲学を含めて、広く市民社会や公的領域についての検討を行う。また、国際学会への参加と発表、共同研究での議論を通して、多くの研究者との学術交流を行う。
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Research Products
(5 results)