2013 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫の新規匂い源定位メカニズム Aim-then-shoot 機構の研究
Project/Area Number |
13J02499
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
手嶋 伸 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | フェロモン / 行動 / 定位 / 走風性 / Aim-then-shoot / 昆虫 |
Research Abstract |
蛾類では従来、視覚に依存した風上への匂い源定位のみが行われていると考えられていた。しかし本研究代表者は、ジャガイモガにおいて機械感覚による地上での風向定位を伴うAim-then-shoot型匂い源定位機構を見出した。本研究課題は、これまでまったく研究がなされてこなかった本定位機構の行動メカニズムの詳細と全容を明らかにすることを目的としている。 平成25年度実施計画と成果 1、匂い情報と機械感覚情報統合段階の解明 : 化学処理によるフェロモン受容体の不活化を試みた。処理はフェロモン受容能の完全な不活化には至らなかったが閾値の上昇が確認できたため、行動実験を現在行っている。 2、サーボスフィア装置への機能追加・刺激装置作成 小蛾類の歩行・跳躍行動の解析のため、サーボスフィア移動運動補償装置の制御パラメータ調節及び環境刺激装置とその駆動プログラムの作成を行った。実験生物の運動に対する確実な補償が可能となった。 3、飛蛾類におけるAim-then-shoot利用の検証及び行動メカニズムの解明 ジャガイモガ同様、通常の飛翔する蛾においても同様のAim-then-shoot型定位機構が存在することを風洞やサーボスフィアを用いた行動実験において確認した。これは本機構が多様な生物群で匂い源探索に用いられている普遍的なメカニズムである可能性を示唆する重要な進展である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度年次計画のうち、1については実験準備段階の処理において有効性を確認を確認し、現在は予備実験を行っている。2、3については年次計画を達成し、特に3については設定した目標を超えて、本研究の目標に関する非常に重大な進展が得られた。これらの状況を勘案し本研究課題は、②おおむね順調に進展している。といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き計画に則り、Aim-then-shoot機構の行動メカニズムの解明を目指す。平成25年度計画「匂い情報と機械感覚情報統合段階の解明」をさらに深く検証し、次年度予定している刺激利用タイミング及び行動アルゴリズム詳細の検証と合わせて本定位機構の全容を記述することを目的とする。 また実験生物として、ジャガイモガからより一般的な飛翔行動を示すノシメマダラメイガへと移行する予定である。場合によっては神経系の処理が可能なより大型のハスモンヨトウや各種スズメガを使うことも視野に入れる。
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