2014 Fiscal Year Annual Research Report
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13J03003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 勇哉 東京大学, 大学院数理科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ACC予想 / 極小ログ食い違い係数 / 特異点理論 / 極小モデル理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は(1)基礎体が有限体の代数閉包である場合の極小モデル理論、(2)極小ログ食い違い係数に対するACC予想について研究を進めた。以下、研究成果を詳述する。 (1)昨年度に引き続き、基礎体が有限体の代数閉包である場合の極小モデル理論を研究した。特に有限体の代数閉包上定義された射影代数多様体上の直線束について、その半豊富性条件について研究した。その中で、有限体の代数閉包上定義された3次元ログ標準対に対して、固定点自由定理を巨大な直線束について(標数によらない形で)証明することができた。そしてこの結果を論文にまとめた。知られていた定理よりも弱い仮定の下で固定点自由定理を示すことができたので、分類理論への応用が期待できる。 (2)極小ログ食い違い係数に対するACC予想を研究した。この予想は、極小モデル理論におけるフリップの停止予想を動機としている。研究の結果、Gorenstein指数を固定した場合の多様体の族について(係数集合を固定した場合の)ACC予想を証明することができた(多様体が滑らかな場合には証明されており、その拡張をした)。またその系として、3次元標準対に対する(係数集合を固定した場合の)ACC予想を証明した。そしてこの結果を論文としてまとめた。この研究は、Hacon-McKernan-Xuにより証明されたログ標準閾値のACC性の応用として得られた。 また、ACC予想に関連して、極小ログ食い違い係数を与えるようなブローアップの列の長さに関して予想を立てた。さらにこの予想を2次元の場合とトーリック多様体に対して証明することが出来た。高次元のACC予想解決の糸口になる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基礎体が有限体の代数閉包である場合の、極小モデル理論について理解が深まった。 また、ログ標準閾値のACC性を極小ログ食い違い係数のACC問題に応用することができた。これを元に、既存の結果を拡張することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
Hacon-McKernan-Xuによるログ標準閾値のACC予想解決においては、ローカルな幾何学をグローバルな幾何学に繋げるテクニックが鍵となっていた。今年度得られた「Gorenstein指数を固定した場合の多様体の族に対するACC予想」もこの考え方を援用してのものである。 今後もこの方法論を推し進めて、ACC予想に応用することを目指す。
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Research Products
(6 results)