2013 Fiscal Year Annual Research Report
視知覚における時間と空間の結びつけ問題を解く:脳磁場反応のネットワーク解析
Project/Area Number |
13J03275
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
黒田 剛士 九州大学, 大学院医学研究院, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 時空間統合 / 視覚 / 脳磁図 / 心理物理学 / カッパー効果 / 信号検出理論 |
Research Abstract |
日的と概要 : 脳内において時間と空間という情報が続合されるメカニズムを明らかにするために, (1)心理物理学測定と, (2)脳磁場測定という二つの手法による実験を行った。いずれの実験も進行中であり, 次年度はデータを追加して知見を確立させる必要がある。 (1)二つの光を順に呈示するときに, それぞれを空間的に離れた位置から呈示すると, 二つの間の時間間隔の長さが過大評価されることがわかっている。しかし, この知見は基本的に三つの光を順に呈示し, それによって示される二つの隣接する時間間隔の長さを実験参加者に比較させた実験から得られたものである。単一の時間間隔を呈示したときに, すなわち光を二つだけ呈示したときに, 空間の効果が得られるかどうかを検証した研究は少ない。そこで心理物理学実験を行い, 二つの光を空間的に異なる位置から呈示したときに時間間隔が過大評価されるかどうかを検証した。結果, 過大評価は二つの光を横方向の異なる位置から呈示したときのみに生じ, 縦方向に呈示したときには生じないことがわかった。今後追加実験を行い, この縦横呈示の違いを生じさせる原因を検証する必要がある。 (2)二刺激ではなく三刺激を用いた際に生じる空間の効果は20世紀の前半から指摘されているにも関わらず, それを脳科学の土台に乗せて検証した例はない。そこで, 三刺激によって示される二つの時間間隔の長さを比較する際に, 空間の効果がどのような脳磁場活動に反映されるかについて検証を行うことにした。現段階での見解を述べると, 三刺激の呈示中に右前頭部に特異的な活動が見られ, これが時間と空間の結びつけに関わっている可能性があると考えている。今後データを追加して傾向を確認する必要がある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
視知覚における時空間統合に関して, 心理物理学実験と脳磁場測定実験の二つを行い検証した。心理物理学実験については結果に傾向が見られ, 追加実験の指針が立ち, 今後の方針が明確である。脳磁場測定実験については, 検証すべき点が見えつつあるが確定的ではなく、今後重点的にデータの追加を進めていく必要がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度に行った心理物理学実験と脳磁場測定実験の両方についてデータを追加し, 知見を確立させる。特に本プロジェクトの中心課題である脳磁場測定実験の方を重点的に進め, 現在の実験のサンプル数(実験参加者数)を増加させる。また, 現在の実験においては三つの光刺激を中心視に近い領域に左右視野をまたいで呈示している(処理が左右半球をまたぐ)ため, これを片側の周辺視野に呈示したときに(片側半球のみで処理されるときに)同様の結果が得られるかどうかについても検証する。心理物理学実験については, 二刺激を縦方両と横方向に呈示したときに生じる処理の違いを検証する実験を追加し, 論文の執筆を目指す。
|
Research Products
(9 results)