2013 Fiscal Year Annual Research Report
渡り鳥の繁殖地への渡来時期に対する過去の経験の影響の解明
Project/Area Number |
13J03359
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
岡久 雄二 立教大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | キビタキ / 渡来時期 / 意思決定 / 渡り / 行動生態学 |
Research Abstract |
本年は「渡り鳥キビタキが同じ場所に帰還することにより生じる利益」と「同じ場所に帰還した際に渡来を遅くしても同じ場所に縄張りを獲得できるメカニズム」について成果をまとめた。 キビタキは同じ縄張りに帰還することで前年までの繁殖の際に得た情報を利用し、適切な営巣場所選択を行うことで、繁殖成績を高められる。その一方で、キビタキは異なる場所で移出すると環境の詳細な情報を持たないことから繁殖成績が低くなることを突き止めた。これは、キビタキが同じ場所に帰還する際に渡来時期をどのように調整するかという本申請研究の基盤となる研究成果である。 また、キビタキの雄が同じ縄張りへ帰還した場合、渡来が遅くなる傾向にあるにもかかわらず、前年と同じ縄張りを獲得し、一定の繁殖成績を収められるメカニズムを明らかにするために、渡来時の雄間闘争に着目した。その結果、キビタキの雄は遅く渡来することで闘争が不利になるにもかかわらず、高い勝率を収めており、前年に縄張りを保有していたという「前年の社会順位」が翌年の個体の闘争行動に影響していることが示唆された。これは本申請研究で明らかにする繁殖地への渡来時期の最適な調節において、個体の経験によって遅く渡来した際のコストが異なる可能性を示唆する点で非常に重要な成果である。 本年は、こうした研究成果を解析し、論文を執筆するとともに国内外の学会において同じ縄張りに帰還することでキビタキが前年の経験を生かし繁殖成績を高められることを発表した。こうした発表とともに関連分野の研究者と活発な議論を進めることで、今後の研究の遂行に大きな弾みを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
野外におけるデータの収集および論文の執筆は順調に進んでいることから、本年の達成度は高いと考えられる。ただし、成果の出版数はまだ少なく、今後一層の努力が求められる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はデータ解析と論文執筆に注力するとともに、国際学会での発表を数多く行うことで本研究の成果を世界に向けて発信することに勤める。また、新たに補助的な野外実験を行うことで本研究の成果の客観性と再現性を高める試みを行う。
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Research Products
(15 results)
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[Journal Article] Density of Japanese macaque (Macaca fuscata yakusi males ranging alone : seasonal and regional variation in male cohesiveness with the group2013
Author(s)
Yosuke Otani, Shinichi Yoshihiro, Yukio Takahata, Koichiro Zamma, Mak iko Nagai, Masato Kanie, Shuhei Hayaishi, Masaya Fujino, Kazusa Sugaya, Masaaki Sudo, Shiori Amanai, Masato Kaneda, Yoshiharu Tachikawa, Yoshihiro Fukunaga, Yuji Okahisa , Kanako Higashi & Goro Hanya
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Journal Title
Mammal Study
Volume: 38
Pages: 105-115
Peer Reviewed
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