2013 Fiscal Year Annual Research Report
リン酸化定量プロテオミクスによるT細胞の正負選択機構の解明
Project/Area Number |
13J03508
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
舟崎 慎太郎 九州大学, 生体防御医学研究所, 特別研究員(DC1)
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Keywords | T細胞 / リン酸プロテオミクス / シグナル伝達 / 正負の選択 |
Research Abstract |
獲得免疫の中心的役割を果たす胸腺T細胞は、「正負の選択」と呼ばれる選択機構を経て成熟する。 TCRを起点とするシグナル伝達の結果、正と負の選択が実行されるが、抗原とTCRの親和性の違いが、胸腺T細胞に生と死という正反対のアウトプットを引き起こすに至る「強度特異的なシグナル伝達と運命決定機構」の大部分は不明である。TCRを介するシグナル伝達では、多くのプロテインキナーゼが関与することから、本研究ではマウス由来の胸腺T細泡を用いたphospho-iTRAQ法によるリン酸化変動の網羅的解析を行うことで、TCR刺激に依存するリン酸化変動という視点から、正と負の選択の違い記述することを目指す。 本年度は、リン酸化定量プロテオミクスを行うために胸腺T細胞を用いた実験条件の最適化を行った。TCR遺伝子改変マウス(OT-1tg, TAP KO)から、正負の選択直前の胸腺T細胞を回収し、in vitroで正または負の選択を誘導するテトラマー試薬を用いて刺激を誘導する系の構築を行った。この方法によってERKの特徴的なリン酸化変動パターンの違いなどが正負の選択で再現性よく確認できることから、テトラマーを用いた実験スキームが構築できた。次に、この方法を用いて刺激後2.5分のサンプルを調製し、リン酸化定量プロテオミクスの取得を行った。その結果、TCRシグナル伝達に関与する多くのタンパク質のリン酸化部位が同定できることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
テトラマーによる正負の選択刺激を誘導する条件検討の最適化に成功しており、その実験スキームを使用したリン酸化プロテオームのデータを取得している。データ取得をさらに進めていくことで、正負の選択の違いが明らかになることが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は順調に推移してきており、特段研究計画の変更点や問題点等はない。今後も研究計画に沿って着実に研究を遂行する予定である。
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